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物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……  作者: buchi


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18/18

変態事情

結局、私は押し込まれて、フィル王子と結婚した。


何が何だか、よくわからないわ。




「結婚したのは、君が超美人で、しかも膨大な魔法力を持っているからなんだ。君に惚れ込んだからだとか言うことは、一切ない。一国の王子たるもの、そんな理由で結婚するわけないだろう」


フィル王子は宣言した。





「ごめんなさいね、素直じゃなくて」


久しぶりに会ったなつかしい王妃様は、苦笑いしながら、そう言った。


「あの子ったら、どうしてもあなたの公爵家を訪ねるって言いだして」


王妃様の説明によると、フィル王子は、私に夜会でもどこでも全然会えなくなってしまったので、すっかり落ち着きを失くしてウロウロしていたらしい。


「ロジャーをそそのかして、状況を知ろうとしたのだけれど、ロジャーは無精者で。それに、あなたのことが好きじゃなかった。誰でも相性があるのでね」


「でも、王妃様、それならどうして私とロジャーの結婚をお決めになられたのですか?」


そんな結婚、不幸になるに決まっているではないか。私の素朴な疑問だった。


王妃様は優雅に笑って、ごまかそうとしたが、ついに白状した。


「最初から、あなたを王家に迎え入れたかったのよ。だけど、出来なかった。いつかも言ったでしょう? 二代続けて隣国の血を引く者を王妃にはできないって。だから、先延ばしにしたの。もっと大きくなって魔力量がハッキリするまで……だけど、何も知らない公爵が、その前にあなたを嫁に出してしまったら困るでしょう? そんなことになったら、フィルはどうしたらいいの? 昔っから、あなたのことが好きだったのに」


私は思わず真っ赤になって、フィル王子の方をチラリと盗み見た。


「でも、それなら、なおさらあの婚約の意味が分かりません」


「気の合わないロジャーをわざと選んだのよ。あなたと婚約者が仲良くなったら、フィルが怒るから」


これで、わかった。確かにロジャーは王家の被害者だ。





妻とマチルダの仕出かした話を聞いて、真っ青になった父が陣地から戻って来た。


父は、王妃様に厳しく叱られていたが、王太子妃の父に罪があってはいけないので、大きな処分にはならなかった。


「あなたの娘ではなかったそうです。マチルダは16歳でした。地元の教会に記録が残っていたわ」


王妃様が教会の記録を指し示した。


「あなたは騙されていたのです。本当の娘は、あの者たちの手によって、飢え死にさせられるところでした。救ったのはフィル王子です」


さすが王家、うまいことを言う。


でも違うのよ、お父さま。救ったのは王子様じゃない。私よ。


私には魔法力があるの。自分で自分を助けたのよ。





義母とマチルダは別々の修道院に閉じ込められた。一生、出られないよう厳しく監視されるらしい。


女中頭モリソン夫人と、下男を始めとした意地悪な使用人たちは、屋敷を追い払われた。誰も雇わないだろう。



「危うく君を殺すところだったよ」


フィル王子は真面目になって言った。


「殺人だよ。あんな人たちとは、二度と会わない方がいい」


彼は私を抱きしめた。


「君の父上も父上だ。君のことを放っておいて。僕がその分を埋めるから。僕だけを好きになって」


あとになって、父が必死で謝罪と会いたいという手紙を出していたのに、フィル王子がしばらく握りつぶしていたことがバレた。

王子は舅にムカついていたらしい。



「知っているかい? 僕には魔法力があるんだ。ほんの少しだけど」


知っていた。だって、他の誰でもなくフィル王子に抱きしめられるとドキドキするから。


「それは君が僕に恋してるから。そうじゃなくて、僕には最初から君の姿はずっと同じだった。みんな、何言っているんだろうと思っていた」


結局、美人好きか……今では私も自覚が出て来た。それに、お母さまが私にかけた魔法は、その人が見たい姿に見える魔法だったから……


「愛しているよ。美人でも、そうじゃなくても、僕は君が好きだ」




母は、私が王家に好きなように利用されるのを恐れていた。魔法力があるからって。


心配いらないわ。


魔法力ってホントに便利なの。


フィル王子が私に意地悪言うのには理由があって、実は期待しているからなの。秘密のお仕置きよ。


裸でいたぶられるのが好きだなんて、結婚するまで知らなかったけど、大の男を逆さ吊りに出来るなんて魔法使いの私だけよ。


「僕は一生君だけだ」


最初はどうかなーって思っていたけど、本人がワクワクしながら待ってるので、これでいいことにしようと思ってる。


一応、幸せだから。

もしよろしかったら、評価をお願いします。


またもや、誤字報告ありがとうございます。2021/11/23

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― 新着の感想 ―
[良い点] 設定は面白い [気になる点] 話がちぐはぐ、プロットを書いているか分からないが書いていなければ書いてからストーリーに落としこんだ方が良い。
[良い点] 最後の最後に何が(作者様に)おきたのか、びっくりしすぎて2度見どころか3度見しちゃいました(笑) でも幸せに暮らせるなら王子の個人的嗜好なんて些細な問題ですよね。
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