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弘美と純一の場合 vol.112. 一路パリへ…。
「浅川さん、ちょっといい、隣座って…。」
機内の窓側の席で旅行プランと資料に目を通していた弘美に、
座席に手を掛けて、加瀬礼子が笑顔で弘美に声を掛けた。
飛行機は成田を経ち一路、フランスはパリに向かっていた。
機内には総勢60名ほどの取引企業の、
オリエンタル株式会社の男性女性社員が搭乗している。
そんな社員を引率する添乗員として、
今まで数回の打ち合わせの他に、
旅行参加者へもプランと説明をしてきた浅川弘美が、
社員の座席の一番後方の座席に座っていた。
「あら、加瀬さん…、いいわよ、どうぞ、どうぞ。」
気軽に声を掛けられ、そして弘美も気軽に応えて、
加瀬礼子に隣の席を空けた。
「お疲れ様でした。いろいろとありがとう、いよいよヨーロッパね。」
「こちらこそ。加瀬さんにはいろいろとお世話になっちゃって。でも、これからよね、本番は。」
「そうそう、楽しく行きましょう。」




