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弘美と純一の場合 vol.110. 会話の方向性…。
弘美としても、まさか加瀬礼子が、失礼にも今、
自分と藤崎の事を露わに話す事など信じられるはずもなく、
黙って礼子の相談事を訊いて居れば、
偶然にも、同じ境遇の男女もいるものだ。
と言うイメージにしか受け取れないのである。
そこに、礼子からすれば、弘美に…。
「浅川さんだったら、こういう時ってどうする…???私も友達から相談されて…一瞬ためらったんだけど…。」
そういう風に、相手から相談を持ち掛けられれば、
受け手としても、ある程度は、考えて応えるほかないのである。
しかも、ある意味で言えば、何も根拠もなしに、
「ごめんなさいね…。もしかして、それって、私の事を言ってる…???」と、
言う方向に切り替えると言うのは、
それだけでも俗に言う「藪蛇」と言う事にもなり兼ねない。
大人の会話である。中には「絵空事」のような話ではあろうが、
それを上手に、話題を盛り立てると言うのも、
お互いのテーブルの間の距離を持ち寄っての、
上手に両方の思考力を取り巻く時間となるのである。




