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弘美と純一の場合 vol.105. 一筋の光…。
いつものシャワーが、今夜は妙に程よい感じのものに弘美は感じられた。
目の前の薄い靄が掛かっていた今までとは違って、
何かしら、手で払えば、靄が少しずつ、
消えて行くようにも感じられたのだ。
既に時計の針は午前零時を回ってはいたが、
いつもとは違って、眠りに就くのも心地良かった。
ただ、ひとつだけ、気になる事と言えば…、
加瀬礼子が何故…今、自分にこういう相談事を、
してきたのかが皆目見当が付かなかったのだ。
けれども、そんな懸念とは別、今、弘美の頭の中に、
一筋の光のようなものが感じられているのが、
藤崎純一も、自分の事を思っている…であろうと言う予感であった。
確信などあろうはずもない。
単に弘美が加瀬礼子の話によって作り出された物語なのだから…。
けれども、 もし本当に藤崎純一も自分の事を、
思っていてくれているのであれば…。
そんな事を考えながらも…、
やがて、深い眠りの淵へと誘われるのだった。




