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弘美と純一の場合 vol.104. ドラマみたいな演出。
今、弘美の頭の中には、店で礼子と話している会話が、
回想されるように巡り巡っているのだった。
そして、それが何故かしら、あるドラマを観ているようにも鮮明で、
分かり易く、頭の中では記憶されているのだった。
それを演出しているのが店の雰囲気でもあり、
客への思いやり、そしてもてなしでもあったのだった。
つまり、客一人ひとりのそれなりの会話を、
じっくりと飲み物を飲みながらにして「雰囲気作り」を、
してくれると言う店であればこそ、
思い出としても残る雰囲気の場所でもあったのだった。
それにしても、奇遇にも礼子が咄嗟の判断とは言え、
弘美にこういう相談事をしてくれた事自体が、
予想にもしていない事であり、礼子に、こころの中で、
ありがとうと言う言葉が生まれたのだった。
そうでもしなかったら、今の弘美には、
こころにつかえていたものを、そのままにして、
気持ちをただ、ひたすらに引き摺るしかなかったのだから…。




