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弘美と純一の場合 vol.103. 自分との距離感。
思わず弘美は、電車の中の目の前の黒い窓に写る自分の顔に…、
「クスッ」と、笑ってしまったのだった。
もちろん、加瀬礼子が、自分と藤崎の「これから…」の事を考えて、
弘美に「ある男女の相談事」として食事に誘った等と言う事は、
弘美には一切分からない。
しかも、礼子が自分が藤崎純一を思っている、
そして藤崎純一も自分の事を思っている事など、
弘美には全く見当もつかなかったのだから…。
それでも、敢えて、それを既に礼子が感じている、
そして知っていると言う事に、
弘美が気付くのはそれからもう少し、
時間が掛かるのである。
しかし、今の時点では、今夜の礼子の相談事で、
藤崎純一に対しての弘美との距離感が、
少しずつでも、近づいてきた予感だけは、感じられるのだった。
それが、この前の裕子の言葉でもある、
「歳の差…か…???あんまり関係のない話だわね。」
そんな言葉が弘美の頭に甦ってきた。




