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弘美と純一の場合 vol.101. 予期しない喜び。
「青天の霹靂」とでも言うべきか…、
あるいは「空谷足音」とでも言うべきか…。
弘美は礼子からの相談事にのりながらも、
偶然に、自分の今の事と重ね合わせていた。
帰りの電車の中で…、
「もしかして、私も同じようにすれば、彼との事も…或いは…。」
40代の自分。まさかこれからひとりの男性との間に恋が芽生える。
そんな事は今までに有り得ないと考え、
それが当たり前だと思っていた自分。
しかも、相手が同年代の異性であるならばまだ話は分かるが、
自分の年齢を一回りも若い異性との関係。
世間にしてみれば、凡そ「犯罪」とも形容されるほどの…。
けれども、それが今の弘美にとっては現実の事。
あの日から、体の一部で…、そして心の一部で凪もなく、
静まり返っていた心の底の湖水…、
水面にひとひらの花びらが着水した、あの感じ…。
そしてそれが、何処からともなく優しく流れる微風に、
抱かれるようにたゆたう、そんな感覚…。




