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弘美と純一の場合 vol.95. 後悔…そして不安。
ある意味では純一の体の何処かで…、
加瀬礼子を憎んでいた。
彼女からもたらされた行為によって、
自分が感じていた浅川弘美と言う憧れに、
取り返しのつかない出来事に、
ある種の「後悔」と言う言葉を、
無垢な純一としては感じていたのであった。
生まれてこの方、一切の恋愛遍歴のない…、
ましてや女性との付き合い等と言うものにも、
縁も所縁もない純一が、初めて直面した「女性との関係」なのだから。
こころに一抹の不安が生まれた…、
としても当たり前なのである。
しかも、全くと言って、
意識などしたことのない女性からの誘惑だったのだから…。
考えても、考えても、行き着くところは、
手探り状態の…、今の自分では、到底浅川弘美と言う憧れには、
頭で描いているだけの、イメージ対象と言われる、
肖像に過ぎないと、自分に言い聞かせるしかない純一であった。
「今頃…あのふたり…何話しているんだろ…。」




