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弘美と純一の場合 vol.94. 模索…。
「でも、どうして加瀬さんは俺が浅川さんの事を…。俺が何か、そんな風に…浅川さんの事を気にしている風に見せたか…。実際に、俺が浅川さんと会ったのだって、まだたったの2回目だと言うのに…、それなのに…何故…。」
純一の脳裏には、全く訳の分からない事だけが行ったり来たり、
出たり入ったりしていた。
そして、何よりも気になるのが純一にとっても、
初めての経験でもある加瀬からのアプローチである。
まさか、あんな感じで加瀬との関係になるとは思ってもみなかった。
しかも、酔いも手伝ってか、迂闊にも、加瀬の誘惑には一切、
抵抗すらできなかった。
…と言うよりは、抵抗の術すら分からなかった…、
突然の出来事だったのだ。
実際に、純一自身もあの時、咄嗟に「恐い」と感じた。
今までかつて経験した事のない出来事であった。
酔いが回っていたとしても、
確かに、形の整ったしなやかな肉体が、
自分の肉体とがお互いに密着していたのだから…。




