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弘美と純一の場合 vol.92. 解れる体…。
その言葉に、弘美は…、
「えっ、どうして私がお酒…???知ってるのかしら…???」
そんな思惑が頭に過ったが…、
すぐさま、マスターのその言葉の後に、
柔らかで温かい表情を見て、
弘美自身も一気に体が解れた感じがした。
それまで幾らか硬い表情の両肩まで自然に解れて行くのだった。
その瞬間、力が抜けたと同時に、笑顔がこぼれ、マスターに、
「お願いします。」と、言葉がポツリと飛び出した。
「雰囲気の良いお店。仕事帰りにちょっと立ち寄るには良い感じ…。」
お店の中をゆっくりと見回しながらも、
カウンターのマスターの顔が目に留まると、
自然に顔が緩む。表情が穏やかになる。
そしてジュースを一口飲み込み、
店内に流れる音楽にしばし耳を傾けていると、店のドアが開く音。
その音に反応してマスターがドアの方に笑みを向ける。
そのマスターに軽く挨拶して、マスターの手が向いた方に顔を向け、
礼子が近づきながら、
「待たせてごめんなさいね。」




