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弘美と純一の場合 vol.90. 誘われるままに…。
「へぇ~知らなかった…。近くにこういうお店ってあったのね~!」
弘美は礼子に誘われるままに、
時間と場所を聞かされ、先に店に入っていた。
誘ったのは礼子だが、もちろん、礼子の仕事が終わるまで、
社で待たせて置くわけにもいかずに、
しかも、弘美がそういうお店を知っているとは思えない。
お店の雰囲気をひとりの客としても少しだけ、
味あわせておきたいと言うせめてもの雰囲気作りとして、
選んだお店を弘美には教えておいたのだ。
マスターが弘美にオレンジジュースと、
飲み物に合うスナックをお通し代わりに、
テーブルに運んで、「ごゆっくりとどうぞ。」と、
落ち着きのある、そして、どこか…頼り甲斐のある表情で、
優しく一言、言い添えてカウンターに入って行った。
時間的に客の入りはまだない。
礼子はこの店の常連客と言う。
この店に入って、すぐに「お待ちしておりました。どうぞ、こちらへ。」と、
ボックス席に案内されたのだった。




