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弘美と純一の場合 vol.87. 本心の…女性としての…。
確かに…、世間では弘美を誰もが放ってはおかない女性だとして、
受け止めているのではあるが、
当の本人は、今や既に40を半ばにして、
これから男性を乞う等と言う杞憂な事など、
馬鹿げている、気に入られるはずなどない。
そんな風に感じているのだった。
しかも、悪い意味では…、
「私は子供が産めない女…」と言う風にも感じながら…。
そして…「こんな歳で…」と、自己憐憫のような感覚にも浸っている…。
けれども…そういう感覚とは別の、
自分の素直な感覚も持ち合わせているのだった。
それが本心の弘美の…女性としての、
失くしてはならない弘美としての持ち味でもあるのだった。
それが、口紅、そして香水と言う、
自分ならではの自分の表現なのであった。
今、弘美の頭の中には、藤崎純一と言う男性と、
亡き夫、哲也の面影がダブり、それが次第に頭の中でシャッフルし、
現に存在する藤崎純一の姿が少しずつ、
哲也の姿よりも色濃くなって行くのであった。




