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弘美と純一の場合 vol.85. 心の乱れ…。
純一はただ、ただ、その場に立ち尽くしていた。
礼子が立ち去った後…、純一の心は乱れていた。
最近の自分に訪れた衝撃が自分の過去の思いと被さり、
それによって甦った憧れの人物。
自分の頭で、その人物を思うだけでも、気分は解れた。
それが現に自分の目の前で面識が出来たのである。
事実、相手が自分をどういう風に感じているかは全く分からない。
ただ、その人を感じていられるだけでも嬉しかったのだ。
ところがそんな矢先に、
加瀬からこんな状態で、肉体的に迫られた。
全く予想だにしない事。
…けれども、初めて触れた女性の肉体、
自分の手で触れたその女性の肉体の柔らかさに心は乱れていた。
けれども、それをどうすれば良いのかと言う事を、
まだ純一には分からずに…。
でも、そんな大人の加瀬には、
逆らう事は出来ない…と、思うしかなかったのだ。




