62/156
弘美と純一の場合 vol.78. 男女の恋、愛とは…。
実際、純一自身も、
何をどうすれば良いのかは全く分からなかった。
女性とのつきあいなどと言うものは、
生まれてこれまで、一度も経験のない事。
仮に過去の女性教師と言っても、
純一自身、憧れだけが心を占領し、
彼女に向かっての「先生が好きです。」
等と言う機会すらなく、ましてや言葉で言い表すと言う事など、
勇気さえ出なかった。
そんな女性に疎い純一。
仮に浅川弘美と言う女性に憧れ、
実際に面識があり、名前もお互いに分かった。
と言う事であっても…、
事実、「これから…。」と言う発展となる素材などは皆無なのだった。
それを加瀬礼子は知ってか知らずか…。
けれども純一との、この短くも、体を張った接触で、
ある程度の純一の胸の内は量れたという気はしていた。
ある意味で言えば、男女の恋、愛とは、肉体が先行して、
初めて花びらが美しく咲き乱れると言う事を、
身体を持って知り得ているのである。




