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弘美と純一の場合 vol.62. 「香水」
弘美が裕子の自宅を訪ね、台所を行き来している時に、
ちょっと気になる事はあったが、それなりに素通りしてはいた…。
けれども、やっぱりここにきて、
いつもとは違う弘美の何かが気になったのだ。
それは「香水」
弘美とは長い付き合いである。
確かに、過去に何度か弘美は気持ちを変えてみようかと、
香水を変えて見た事はあった。
特に、亡き夫の哲也に対しては、
自分に振り向いて欲しい気持ちで、
女性としての匂いをあれこれと変えてみた経緯もあったのだ。
その後は哲也が亡くなり、自暴自棄となり、
立ち直った時にも自分を見つめ直そうと、
香水を変えたと言う経緯もあった。
それから最近までは一切、
弘美の香水の匂いは変る事はなかったのである。
それが…いま…ここにきて…、
裕子が感じたそれは…。
「弘美…あんた…もしかしたら…。」
と言う思惑が裕子の脳裏を一瞬、過ったのであった。




