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弘美と純一の場合 vol.61. 誕生会
そんな佐也加と店の前で別れて駅に向かう途中に、
裕子からの着信。
電話の内容は杏子の誕生会の時間の報せだった。
毎年欠かせない杏子の誕生会。
この日ばかりは大人も夕方には仕事を切り上げて、
杏子の誕生日を祝うのであった。
裕子と徹、そして弘美に、
近所で仲の良い杏子の友達とその両親が揃っての、
ささやかではあるが、杏子を祝うのである。
その日、前々から杏子と約束していた、
誕生日の贈り物を用意して杏子に手渡しして祝ってあげた。
「弘美おばちゃん、杏子の約束ありがとう」
無邪気にも、丁寧にお礼をする杏子の頭を撫でてやりながら、
「今度は杏子ちゃんも小学校だもんね、頑張ろうね。」
そんな弘美の杏子との遣り取りを眺めながら、
裕子が何やら顔を傾げた表情をした。
気のせいかも知れないが、
いつもの弘美と何処かが違う。




