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弘美と純一の場合 vol.52. それぞれの胸の中…。
言葉の持ち味や意味や、
投げ掛けた言葉の重要さと言うものは、
男性と女性であるならば、
その切っ掛けで様々な意識感すらも感じ取ってしまうもの…。
ただ、残念ながら、その場での礼子の、
その時、その時のポイント的な言葉の意味を、
今の弘美と純一では、察知するまでには至らなかった。
程よい時間が過ぎ、次回の打ち合わせの日程と時間をそれぞれで出し合い、
その場の打ち合わせは終了した。
弘美は丁寧に礼子と純一にお辞儀をして部屋を後にした。
その弘美の後ろ姿には、最初の戸惑いと言うものはもはや消え、
僅かではあったが、胸の中で、ささやかではあったが、
数年前の愛しい人との感触が甦り始めていた。
片や純一の方はと言うと、体には似合わずに、
かなりの緊張感とまだ微かに波立っている心臓の鼓動に、
まだわずかに汗を掻きながらも、
何処か落ち着かない状態を引きづっていた。




