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弘美と純一の場合 vol.50. 熱い感触
純一自身も…失礼だとは感じたのであったが、
学生時代に感じた淡いが、衝撃的な初恋の記憶を消すことが出来ずに、
自分の本能のままに、数メートル離れて友達みたいな人と、
一緒にコーヒーを飲んで話し込んでいる、
1人の女性を見つめ続けたのであった。
名前すら知らずに、
その場でもう会う事のない一人の女性を…。
ここぞとばかりに自分の気持ちが済むまで見つめ続けたのであった。
そんな女性が、ある時、
社に訪れブースを通り過ぎて行った。
ほんの一瞬ではあったが、「まさか…」
と言う感触が薄らとではあるが、
純一の胸に熱いものを感じさせた。
そして、その正しく「まさか…」の感触が、実に現実となって、
目の前で起こっているのである。
女性遍歴など一切ない純一、
何をどうすれば良いのか分からないままに、
目の前にいる浅川弘美を、
その姿を頭から足元まで時々目を留めながら…。




