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弘美と純一の場合 vol.41. 遠い過去…女性音楽教師。
「もしかしたら…この人なら…」と思って、
イメージを巡らせての…「彼を担当に…」と閃き、
部長に打診したのであった。
そんな経緯を藤崎としては知る由もない。
ただ、今、目の前にいる浅川弘美の存在を、
彼本人も「本当に…あの時の女性と…???」
と感じていたのは真実であった。
遠い過去に、自分よりも一回りも年齢差のある、
女性音楽教師に憧れ、思いの果てに、
あれこれと音楽の事でその先生に、
相談やら教えを乞うた事があったのだ。
つまりは藤崎の、その女性音楽教師こそが、
初恋の女性だったのである。
藤崎純一、彼には1人の姉がいた。
そして、その姉が純一の母親代わりでもあったのだ。
藤崎姉弟には両親がいない。
純一が生まれて間もなく母親が事故で亡くなっており、
小学低学年の頃には父親が難病に襲われ、
数日で亡くなっている。




