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弘美と純一の場合 vol.36. 恋愛遍歴
この一瞬の弘美の視点を見失った動揺が、
礼子にはある意味では、「幼い少女」のようにも感じたのだった。
その理由は道理である。
幾ら年齢では40歳も半ば…とは言え、
弘美の容姿は、まだ、そのスタイルに翳りを孕んでいる事はなく、
周囲の男性を魅了するには十分だったのである。
しかしながら、その弘美の恋愛遍歴と言うものは、
かつての夫、哲也ひとりのみだったのだ。
そういう意味でも男性に対しての、
微妙な意識的なものに長けている訳ではなかった。
そして、そんな弘美を目の当たりにしている男性、
藤崎純一もまた、女性遍歴と言うものは、
生まれてこの方、わずかに一度だけの…、
高校時代に、女性教師に憧れて、
頻繁にその女性教師を追い掛けては、
自分をアピールしていたと言う経緯くらいなのであった。




