弘美と純一の場合 vol.168. 姉朋子。
純一の姉朋子、それでも弘美の7つも年下である。
30代後半、大学卒業後に結婚しており、
子供たちは既に大きくあり、上は社会人になっている。
弘美は朋子に、自分みたいな年齢の女性が純一と、
今後は結婚を前提にお付き合いを…、
と、言う丁寧な挨拶をし、そして朋子にもそれを丁重に受け入れられた。
まだまだ子供みたいで、女性からすれば、
頼りになるかは分からない純一を朋子自身も、
純一の若い頃から「姉さん女房…」と言うのが一番いいのかも…。
と、思いながらも日々は過ぎ、そして歳月が過ぎ…。
だからこそ…。いや…それよりも何よりも、
母親の愛情を知らない純一には、正に相応しい相手だと、
弘美と会う前から、そう感じていたのであった。
そして、その事を朋子から聞いた弘美も、
これからの人生を純一と全うできると気持ちが、
更にこころの中に溢れてきたのであった。
その日、細やかながらも、純一の姉の家で食事会が催しされた。
純一と共に純一の姉の事を含めて家族の事を紹介されながら、
そして過去の事を楽しく思い出され、感慨深い夜になったのだった。
急ぎ足で…と言うよりは、
自然に体が止まらなかったと言うのが本音だったのであろう。
かつての武藤哲也に対しての猛アタックもそうだったが、
もはや40も後半に歳を重ねている弘美にとって、
傍からみれば、そんなに急ぐことも…。と、思われそうではあるのだが、
弘美の空白の5年間、そして30代にしてまだ未婚と言う、
純一の自然な姿勢と態度が2人だけの、
本当に愛おしい時間へと突き進めさせるのだった。
しかも、純一よりもむしろ弘美の方から短期間でも、
愛の証として婚約を済ませたのである。
12月の頭には既に2人のそれぞれの周辺との出会い、
そして紹介は済まされ、そしてそれがまた新しい輪と言うものに繋がって行った。
そんな輪の中から、今度は一番賑やかな佐也加と、
これまた祭り好きの礼子が発端となって、
12月の後半が誕生日である弘美に、
どうせなら、折角知り合った私たちで弘美と純一のために、
パーティをしようと言う事になったのである。