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弘美と純一の場合 vol.30. 再会…
そんなある日、旅行の企画の打ち合わせと言う事で、
取引き先から担当者に出向いて欲しいと言う旨連絡があり、
上司から赴く様にと言う指示があり、
指定時間に取引先の一室に案内される。
以前の商談の時と同様の担当者との、
打ち合わせと言う事であったが、
その他にもう一名の担当者も加わると言われ、
その時に初めてお互いに顔を合わせた。
目の前に現れたのが…彼であった。
弘美の胸はざわめき始めていた。
再会である。ある程度取り繕ってはいたのだが、
まさか、それが現実になるとは有り得ないと思っていた。
以前にこの社に訪れ、彼を一瞬であっても、
記憶に留めた、その事実は、まぎれもない。
今後も少なからずは会うであろう確率が考えられたのである。
低い確率と弘美は感じてはいたが、
その低い確率が的中するとは…。