143/156
弘美と純一の場合 vol.158. 弘美と言う名前…。
まさか…自分があんな事を…。そんな風に思った純一ではあったが、
何故か、自分の思い…意外の何かの意識が働いた感覚もあった。
そして、先ほどの弘美との関係で体は緊張し、
手は依然として小さく震えたままの状態であった。
ある意味では隣で眠っている同僚を、
起こすのではないかと気遣うのがやっとだった。
けれども弘美とのあの情況は真実であり、
そして今後の純一に大きく影響していくのである。
薄い灯りの下で、リクライニングにしたシートで、ゆっくりと目を閉じる。
今…弘美はどんな感じでいるだろうか…。
既に純一の頭の中では、浅川と言う苗字が消え、
弘美と言う名前が巡っていた。
先程までの高鳴る鼓動が、ゆっくりとではあるが、
少しずつ小さくなって行くのを感じていた。
…けれども、頭の中では、いつまでも走馬灯のように、
弘美との事が巡り巡り占めていた。
そして…それは弘美も同様であった。
もう数時間で…成田空港…着である。