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弘美と純一の場合 vol.154. ブラックユーモア。
「バキューン…って、いきなりピストルで撃たれても…。」
「…ってオイ!」
そう言う礼子の視線の先には…、
「…エッ???浅川さん…???」
「That’s right!どぅお???綺麗になったと思わない???元々綺麗な人なんだけど…、それにも増して…ねね、どうよ!」
半ばブラックユーモアな感じで、ちょっとはしゃいだ気分で…。
「もう~加瀬さん…、勘弁して…もう~恥ずかしい~!」
「彼女…先ほどからこう申しております。健気でございます。」
「さっきから加瀬さん、こうやってふざけてばっかり…なの。」
照れながら、藤崎と谷屋にそういう風に喋り、困ったような…嬉しいような…、
そんな表情を見せる弘美の顔…。
けれども、何故かしら鈍感な男子二人には…、何処がどう綺麗なのか…。
確かに、以前から綺麗だと思っていた浅川弘美だけに、
それ以上に綺麗だと感じるのは敏感な女性だけのようだったのである。
けれども藤崎だけは、弘美の近くにいるだけで、
嬉しさと鼓動がわずかに高鳴る思いでいられるのだった。