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弘美と純一の場合 vol.153. 思われニキビ…。
「えっ、思われニキビ…???何…それ…???」
「おいおい藤崎…お前…そういうのも知らねぇのかよ。」
谷屋にそう一言言われ、
「いや…聞いた事はあるけど、まさか俺にそんなの出来てるなんて…。」
「藤崎君、誰かさんに思われてるって証拠よそれって!あなた…心当たりはないの???」
礼子から、半ば…突っ込まれたように話され…、
思わず照れる藤崎を見て弘美は…、こころの中でこんな風に感じてた。
「…こんな事ってあるのかしら…、不思議…。藤崎君、ますます哲也に似ている。」
まず誰にも分からないはずである。
何かが藤崎を変えたのであろう、一夜の間に…。
弘美だけが知っている弘美の前の夫、既に事故で亡くなっている夫、
武藤哲也の顔が藤崎の顔におぼろげに憑りついたように感じられるのだった。
彫のある鼻筋の通った顔立ちの武藤哲也の顔に…。
「何だか…一晩で凄くカッコいい男になったように思わない、藤崎君、ねぇ浅川さん。」
「…そう…見たいね。うん。」
「…って言うかぁ、あんたたち、何か気付かないの…??? バキューン!」