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弘美と純一の場合 vol.146. シャワールームにて…。
最後の夢のシーンが頭の中で漂っていた。
哲也と純一の顔である。2人とも私の顔を見て笑顔で…。
それに、何とも頼もしい顔であったろうか、
夢の中の純一の顔は…。
隣の哲也を彷彿とさせるような…、
そんな逞しくも凛々しい顔立ちに変っていたのだ。
思わず弘美の顔が綻んで、温かいシャワーを頭の先から、浴びながら、
清々しい気分を感じたのだった。
しかも、夢の中には裕子が…、裕子が私になっていた…。
それに…「これからどうなるの…???藤崎君としあわせに。」
と言う礼子の夢の中の言葉が、
妙に、これからの純一との間を通り越して、
まるで私と藤崎君が結ばれたような感じになっていた。
藤崎君との感じは分かったようだが、実際にはお互いに、
お互いの事を何一つ知らない。
夢の中で哲也が藤崎君と会話をしていて…、
そして2人とも私を見て笑顔…。
「これって何かの前兆…???」
そんな風に、あれこれと思いを巡らしてもいながら…何故か、
体の方は弾んでいるのだった。