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弘美と純一の場合 vol.142. 最後の夜。
2時間に及ぶヨーロッパの格式あるナイトショー、
午後11時には、オーディエンスの大絶賛の中で終了する。
圧巻を身体全体に感じながら、
それぞれのゲストたちは会場を後にする。
帰りのバスに向かいながらも、
その興奮が冷めやらぬゲストも中にはいるものである。
それぞれに感じた事を振りまきバスに乗り込む。
社員よりも早めにバスで社員を確認しながら弘美、
それぞれの社員に様々な声を掛け、
そして声を掛けられながらも…。
礼子とも大袈裟なゼスチャーをし、純一にも、笑顔で迎えながら…。
そして、その他の社員にもさりげなく挨拶やボーズなどをしながら、
絶対に純一との個人的な思いを知られると言う事などないように、
それぞれにもてなしながら、
パリの華麗なる夜に濃いオレンジ色の燦然と煌めく、
「ムーラン・ルージュ」を後にするのである。
フランスはパリでの最後の夜。
やがて今日と新しい明日が交わるクロスオーバーを迎え、
その5時間後に最後の朝を迎えるのである。