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弘美と純一の場合 vol.128. 旅の空の下。
今後も純一の頭、そして心には弘美の「どう、藤崎さん、この景色…???」
そして「そうよね~素敵よね~!」と言う言葉が、
消えることなく刻み込まれる事になる。
ただ…、「いつか、彼女と一緒に、また来れればね…???」
と言う言葉には、純一自身、多少、苦笑いをしながらも…、
心の中で…、「それって…浅川さん…、あなたとだったらどんなにか…。」
ひとりで…何故かしら照れ臭そうに…、
周囲と共に夜景を後にホテルに向かう。
空を見上げれば、2日目のパリの夜空。
3日目になると、旅にも少しずつ慣れ始めた社員たちも、
それぞれに自分たちの思い通りの行動パターンに移るケースが目立ち始める。
弘美自身も仕事としての旅ではあるが、
若い女性社員に囲まれて、
それに礼子とも今までは余り話する事もない旅のエピソードや、
プライベートな部分も語り合う時間に恵まれるのである。
ただ…大人の会話である、男女に関連する事以外は…。