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弘美と純一の場合 vol.124. 大きな灯りに…。
「えっ…???そうだったの…???」
加瀬礼子の言葉が弘美の耳に飛び込んできて、
思わず弘美は…ある意味、「意外…。」と言うニュアンスを感じた。
そして、藤崎に対して、
「ごめんなさいね、藤崎さん、私…てっきり…。」
「いいんですよ浅川さん、こいつ、こんな感じなんですが、結構ウブなんですよ。」
傍にいた純一の同僚が加瀬礼子の声と弘美の声が耳に入って、
そんな風に弘美に話し掛けたと同時に、
少しだけ純一を茶化した格好になった。
しかし、これが弘美にとっては、
一筋の光りがいきなりスポットライトのように、
大きな灯りに変った瞬間でもあった。
つまりは弘美としても、
この美しい景色に後押しされたような感じではあったが、
自分としては、多少、意地の悪い感じでもあったが、
藤崎に対して「鎌をかける」そんな感じになったのである。
そんな中で、礼子も礼子で、
「こういう場所で、こういう事言う…。やるわね、浅川さん。」
そんな事を胸にしながら…。
弘美にも純一にも分からないように、
小さな仕草で、「クスッ」と笑うのであった。