106/156
弘美と純一の場合 vol.122. モンサンミシェル夕景
前日の市内のホテルとは異なり、
世界遺産と言われるモンサンミシェルに近い場所にあるホテルである。
少し旅するものには嬉しい癒し的感じを醸し出しているこのホテルで、
時間に合わせてのこの旅行のプランの一つのサービスが、
添乗員としての浅川弘美から提供される。
そして、そのサービスには殆どの社員が堪能するのである。
それがモンサンミシェルの夕景、夜景である。
正に神秘的なその景色を見ながらにして、
パリの蒸し暑さから少しだけ夕刻の海からの風が、
体を撫でつけるようで心地良い。
ゆっくりとその夕景に案内する弘美、
この時ばかりは若い女性社員も盛んに目の保養に夢中になっていた。
そして、その時を待っていたように、
自然に、弘美の傍には加瀬礼子が、
そして藤崎純一がランダムに揃っていたのだった。
別に違和感もない状態で…。
弘美の前には純一が…、
そして弘美の左横には加瀬礼子と言う風な恰好になっていた。