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弘美と純一の場合 vol.120. パリ…初日。
その頃、他の社員たちは…と言えば、
前以て各々が旅の予定をしていたはずの、
その計画によりわずかではあったが、
パリの街へと遊泳している者もいた。
または、ホテルの中にあるラウンジで、
ゆっくりと空の旅での疲れを酒で癒している者、
それに、若い社員なら、グループでお店に入り、
早くもウィンドウショッピングやグルメを堪能していた。
他には、パリの夜景に出掛けるものなど様々。
何処でも見掛ける日本人としての観光をそれぞれに、
旅行初日を満喫しているのであった。
特に、純一にしては、同じ目的でこの旅行に同行している浅川弘美を思いながら、
同僚たちと一緒にいる中でも、時々、胸ときめく感覚を抱えながら…。
時計の針は夜11時を回っている。
ロビーで落ち着いていた弘美も、
あれから数名の社員がホテルに戻ってきたことを確かめ、
社員の初日のパリの夜の行動について、
特に問題はないと感じ、カウンターの女性に合図をして、
自分もエレベーターで部屋に戻るのであった。