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弘美と純一の場合 vol.25. まとうオーラ
常に前を向いて生きているような女性。
周囲の男性から見れば、
そういう風に形容されても当たり前とも言えるほどに…。
いや、女性から見ても、そういう姿勢が弘美の日々の生活や、
仕事振りからもうかがい知れる事は出来るのだった。
弘美本人からすれば、別にそういう意識的なものには、
一切関知してはいなかったのだが…。
しかし、同性と異性から見る限りでは、
そういう外見的な部分にも、弘美が特に、
異性を近づけないオーラ的なものを、
醸し出していると言う風に見られるのだった。
しかし…、そんなオーラを、一瞬の出来事が、
遂には取り去ってしまうとは、
弘美自身も予想だ、にしなかった事であった。
遭遇してしまった事を、否定する事は出来ない。
この5年の歳月は弘美にとって、
男性のその肉体の一部でも、
自分の体に接触した…などは、
なかった長い期間だったのである。