表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/128

義姉は義弟におねだりをされる7

 ……眩しい。

 瞼に明るい光を感じる。もう、朝なのかしら。

 昨夜は仲直りをした後ナイジェルの部屋でお話をして……それからわたくし、どうしたのだっけ。


「姉様、起きたのですか?」


 頭を優しく撫でられ、瞼を上げる。するとそこには――ナイジェルの姿があった。

 朝の光に照らされた彼はまるで宗教画の天使のようだ。彼は絶世の美貌に甘い笑みを浮かべ、横になって頬杖をつきながらわたくしの頭を撫で続けている。

 義弟は朝から見ても綺麗ね。寝起きのせいなのか少し髪が乱れているけど、そんなところもだらしなくは見えず色香が増すだけだ。首にはわたくしが贈った指輪の鎖が煌めいていて、指輪本体は服の中に隠れてその姿が見えない。手を伸ばして鎖を手繰ると、指輪はきちんとそこにあった。


「姉様。どうしたのです?」

「指輪が、あるか。少し、気に……」


 語尾は眠気でとろとろと萎んでいく。


「ええ、当然失くしたりしませんよ」


 ナイジェルは微笑むとまたわたくしの頭をまた撫でた。

 その心地良さに、再び微睡もうとして……


「……ん?」


 この状況の異常さに、ようやく気づいた。

 周囲にちらりと目を向けると自分の寝室ではない。ここは……ナイジェルの部屋?


「ないじぇう」


 ああ、ダメだわ。寝起きで舌が回っていない。


「はい」

「ここは、お前の部屋?」

「はい。お話をしている最中に姉様が眠ってしまったので、私の寝台に寝かせました」


 ――なんてことなの。

 一気に意識が覚醒し、思考がぐるぐると回転をはじめる。


「ナナナ、ナイジェルッ」

「どうされました? 姉様。弟の寝台で寝ることが……そんなにまずいことだったでしょうか」


 ナイジェルは無邪気な表情で首を傾げるので、言葉に詰まってしまう。


「安心してください、僕は長椅子で睡眠を取りましたので。昨日姉様に一緒に寝るのはダメだと言われましたものね」


 ならどうして今隣で寝ているのよ、という疑問はぐっと飲み込む。

 突付いたら藪蛇になりそうなことは、そのままにしておいた方がいいのだ。

 追求して『実は一晩一緒に寝ました』なんて言われる方が困るもの。

 ……なににしても、無防備なところを見られてしまったのよね。


「……ナイジェル」

「なんですか? 姉様」

「……寝顔を見たの?」

「まぁ、寝台まで運びましたので。見ましたね」


 きっぱりと言われて羞恥で顔が真っ赤になる。今もこうして寝起きの顔を見られているのよね……!


「わ、忘れなさい!」


 枕を手に取りぼふりとナイジェルの顔に軽くぶつけ、わたくしは寝台を下りた。

 義弟の前では……隙を見せてばかりな気がするわ。

 これからは気を引き締めて、義弟の前でも常に公爵令嬢らしくあることを心がけないと。


「……あんな可愛い寝顔、忘れられないです」


 ナイジェルのそんな言葉が聞こえた気がしたけれど……気のせい、ということにしておきたいわ。

じわっと囲い込む弟(´・ω・`)


面白いと思って頂けましたら、感想・評価などで応援頂けますと更新の励みになります(*´ω`*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] おもしろいです(*´▽`)一気に読みました。 続きが読みたいです!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ