勇者じゃない俺の勇者らしい相談事
ステータスの確認が終わると皆個人で用意された部屋に入る。
「しっかし、疲れたぁ」
俺はベッドに倒れ込みながら独りごちる。
何せあの後もずっと姫様には質問され、解放されたかと思ったら他の生徒に絡まれ、あまり人と喋らない俺としてはキツいものがあった。
"トン、トントンッ"
部屋でぼーっとしているとドアをノックする音がした。
「はいよー開いてるぞぉー」
「わかっている一応だ」
大体ドアのノックでわかる相手なのでてきとーな返事をする。
「で、何のようだ? ハヤト」
そう、俺の部屋に来たのは我らがクラスのヒーローイケメン紳士
ハヤト=シキシ───
「声に出てるぞ? バカにしてるのか? 」
青筋をたてるハヤト。
いかんいかん、口に出していたようだ。
「すまんすまん、でほんとに何用?」
「アキラ。 お前はこういう時どうする?」
俺の質問に質問で返すハヤト。
こいつは昔から主語を抜くからホンットにもう。
「質問を質問で返すな。 何がこういう時なのかはっきり言えよ」
「うっ!?……ごめん。 で、こういう時って言うのは異世界に転移してきて魔王と戦えって言われたとき僕はどう指示を出したら良いのかってこと」
「異世界転移なんて初めてなんだから俺に聞くなよ。 まぁ、小説みたいなことで言えば、この国の王様や姫様はいい人だと思うぞ? で、これも俺個人の見解としてだが訓練は皆やって見てから行くか行かないか決めさせるのも有りだと思う。 俺は参加したくないけどな」
ハヤトが聞きたいであろう事を俺個人の見解で話ながら俺の気持ちを伝えると最初は成る程みたいに聞いてた奴が、捨てられた犬みたいな顔してこっちを見る。
「えっ!? アキラも一緒に来てくれるんじゃないのか!? どうしてっ!?」
「やめろっ!? その言い方気持ち悪いっ!! 彼女みたいなこと言うなよ。 第一俺は、薬師と錬金術師で勇者じゃないの。 戦闘できないのに戦場言ってどうすんだよ?」
「ステータス的には上位陣だし、スキルも取りやすいんだから大丈夫でしょ? それに僕のアドバイザーとして活躍してくれよぉっ!! 」
「そんなこと言ったって俺は、出たくないしアドバイザーなら、お前の親衛隊の隊長とか副隊長とか幹部連中に聞けよ」
そう彼には隼人さま親衛隊と言う名の組織があり俺たちの学校では、生徒会より一時期勢力があった。
中には教師とかいたらしい。
そいつらなら喜んでお前の話を聞いてくれるだろうよ。
「ダメだよッ!? 彼女達は俺が言ったこと全部yesって言うんだから。 それより僕と対等に話せるお前が良いんだっ!! アキラじゃなきゃ嫌なんだよっ!!」
「だからっ!? その言い方辞めろやっ!! お前のその言い方のせいで、腐がつく女子からは布教の題材にされるし、お前の親衛隊からは、毎度お命頂戴されそうになるんだからなっ!? いい迷惑だっ!! 他をあたれっ!!」
こいつは何だかんだと俺を頼る。
幼馴染で一番腹を割って話せるからだそうだ。
だが、そのせいで学校では腐のつく女子達の薄い本のモデルになり、親衛隊のメンバーは毒物、刃物何でもござれで掛かってくるのが日常茶飯事だった。
そんな事を異世界でもやりたくはない。
「そっ……そんなぁ~」
ショボンとして部屋を出ていくハヤトだったが、一度こちらを向いて"僕はあきらめないぞっ"と捨て台詞を吐いてから出ていった。
ハヤトが出ていった後もドアの方を俺は眺めながら思う。
ハヤト……すごい迷惑だから早く諦めてくれっ!! と。
読んでいただきありがとうございました。
七八転です。
少しだけ補足としてハヤトのステータスを
ハヤト=シキシマ レベル1
職業 勇者・勇者
攻 530
守 490
魔 500
精 470
速 500
運 100
スキル 光剣、筋力増大、魔力増大、俊敏性増大
となります。
因みに一般村人等の平均は150となります。
次回から戦闘訓練になりますので読んでいただければと思います。