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普通の学園生活って何ですか?  作者: 有木千夏
第四章 『学園内予選』
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観光名所の神社

「……」

「……」


 昼食を食べて部屋に戻った天羽とフェルンは、横になったらすぐに寝てしまった。

 午前は移動と海水浴、学園の特別演習程ではないが疲れが溜まっていたのだ。

 そして時刻は午後三時。

 部屋に付いているインターホンの音で二人は目を覚ました。


『ピンポン』

「……ん?」


 天羽が最初に起きてドアを開けると、ナンシーと瑠璃子、そして学園から戻ったレイシスが一緒にいた。


「どうかしたのか?」

「学園長から神社へお参りに行こうと誘われまして」

「神社?」

「近くにある朧月神社は、必勝祈願で訪れる人が多い神社なんだ。負けを曇らせ勝利に輝く月を掴む! なんだって」

「ケーキ付けに行きまショー!」

「……どうかしましたか?」


 と、フェルンが目を擦りながら歩いてくると、あくび混じりに天羽に聞く。


「神社に一緒に行かないかだって」

「お参りですか……そうですね、天羽さんが行くなら私も行きます」

「なら、せっかくだし行こうか」

「はい」


 財布を持って旅館を出発し歩くこと数分、裏路地に入ると林の中に赤い鳥居が見えた。


「あそこだ」


 鳥居の先に続く階段は、見上げるだけで腰が痛くなるほどだった。

 ボソッと天羽が呟く。


「これ、登るのか……?」

「ああ、順調に登っても五分くらいはかかるぞ。だが、登った先にはとても良いものが待っている」


 レイシスの言葉を信じて登ること約五分。

 やっと潜った第二の鳥居を抜けると、大きな神社の左側に甘味処が建っていた。

 店はとても古い家という見た目で、横開きの扉の傍には黒板の看板にチョークでパフェが描かれていた。


「な、来て良かっただろ?」

「パフェデース!」

「おぉ……!」

「待て待て、お参りしてからだ」


 三時のおやつに腹が鳴り、お参りを済ますと皆で甘味処に入る。

 店内は実家のような安心感を得られる落ち着いた雰囲気で、和服姿のおばあちゃんがオーダーを取ってくれた。

 少し待つとお盆に乗せたパフェが次々と五人分運ばれてくる。

 逆三角形の器にフレーク、生クリーム、抹茶ゼリー、あんこ、抹茶アイス、チョコソースと豪華に盛られている。


「「「いただきまーす!」」」


 一口食べると抹茶の苦みとチョコソースの甘みが舌に広がる。

 聞けば抹茶に使われている茶葉は、この甘味処と契約している茶園で作られた碾茶(てんちゃ)を使っており、店内の茶臼で挽いて一からアイスを作っているとか。

 最初は苦みに渋い顔をしていたフェルンとナンシーだったが、食べていくにつれてその苦みの美味しさが分かってきたようだ。


「とても本格的な抹茶アイスだな」

「甘く作られた抹茶の食べ物はあまり好きではありませんが、この抹茶アイスは茶葉の味を楽しめるのでとても私好みです」

「階段で疲れた身に染みるだろ? 私も毎年ここに来るのが楽しみなんだ」

「今回はたまたま来れましたけれど、プライベートでも来たくなるお店ですね」

「その時はフェルンも連れて行ってあげてくれ、とても気に入ったようだからな」


 見ると、フェルンとナンシーの器はもう空で温かい抹茶を静かに飲んでいた。


「美味しかったか?」

「はい。初めての味に驚きましたが、とても心を落ち着かせてくれました」

「来て良かったな」

「はい」


 満足そうにしているフェルンを見て、天羽とレイシスはとても嬉しくなった。

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