表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
普通の学園生活って何ですか?  作者: 有木千夏
第四章 『学園内予選』
73/90

宝石と獣

 Aブロック十一回戦前の控室。

 お昼休み終わりという訳もあって、控室では竜二がうとうとしていた。


「起きなさいよ竜二」

「ああ……ごめんね。少し眠くて」


 肩を揺する朱里に目を擦りながら生返事をする。


「試合前に居眠りなんて、気が抜けているわよ」

「お昼ご飯、食べすぎちゃったかも」


 困った笑顔を朱里に返すと、ツインテール赤く煌かせ先端を触りながら目を逸らす。


「ちゃんとしてよね。頼りにしているんだから……」

「試合は試合だからね、頑張るよ。今日はルビーでやるの?」

「え? ……あ、ああ、そうよ。血液循環を促していつもより激しく動き回れるようにね!」


 自分の知らぬ間に髪の色が変わっていた事に動揺しながら答えると、竜二は心配そうに言う。


「試合前にこういうの言うべきじゃないだろうけれど、あまり無理しないでね。魔素(エナ)の消費激しいんでしょ?」

「斎藤さんのように一回一回の効果じゃないから結構消費はするけれど、前の試合みたいにエメラルドで軽減出来ない一撃を受けてダウンするよりはマシだわ。竜二だって変身するのに魔素(エナ)結構消費するじゃない。全身の変身なんて何回も使えないでしょ?」

「そうだね。猿王やクロコダイルは最後の手段。自分が想像出来る動物の種類が増えればもっと変身の幅が広がるんだけれどね」


 少し暗い表情をする竜二に、朱里はほほを赤くしながら言う。


「じゃ、じゃあ……予選が終わったら、学園長に許可取って動物園に行く?」

「能力のためなら外出許可下りるかもね……うん、一緒に行こうか!」

「いっ……ふ、ふん! 仕方ないわね、相方(パートナー)としてついて行ってあげるわよ!」

「うん、ありがとう」

「失礼します」


 会話が終わるのを見計らったように、控室にスーが入って来る。


「畑槻様、坂本様、試合開始5分前となりました。試合会場へ入場をお願い致します」

「行こう、朱里さん」

「ええ、やるわよ竜二」


 控室を出て扉の前に行くと、フェティーと一緒にスポーツカットの畑宗次郎と、ショートカットの大月颯がいた。

 二人は朱里たちを無表情で見ると、すぐに視線を扉に移した。


「「入場してください」」


 試合場で対峙し、緊張が走る中機械音声が試合開始を告げる。


『Aブロック十一回戦、試合開始(バトルスタート)

宝石強化(ジュエルブースト)、ルビー!」

獣身化(ビーストフォルム)、チーター!」


 朱里はツインテールを赤く輝かせ、竜二は足と腕をヒョウ柄のチーターへと変化させて一気に距離を詰める。


火の造形(メイクファイア)、ソード!」

氷の造形(メイクアイス)、シールド!」


 対して宗次郎と颯は、赤と青の魔法陣から赤く燃える剣と青く冷気を纏った盾を作り出し装備する。

 横に大きく振った宗次郎の剣は朱里と竜二の敏捷性に劣り簡単に避けられてしまう。


宝石強化(ジュエルブースト)、タイガーアイ!」

獣身化(ビーストフォルム)、ゴリラ!」


 颯の使う氷の造形(メイクアイス)には、触れたものを凍結させる効果があるが、朱里のタイガーアイはそれらの効果を無効化する能力がある。

 ツインテールを黄と黒の縞模様に変化しシールドを殴ると、いとも簡単に砕け散った。

 颯が驚いているその隙に、ゴリラの足で力強く踏み込んで黒腕で腹に一撃を与える。

 颯は壁まで吹っ飛ばされ、脱力したように床に倒れる。


『大月颯、意識喪失(ロスコンシャスネス)

「最後まで抗って見せよう……!」


 機械音声が告げると、宗次郎は両手に剣を作り二人に立ち向かう。

 宗次郎の能力にも触れた相手を火傷にする効果があるが、朱里の前ではどれも無力だ。

 二人に剣を避けられたところで全身を炎に包み込み守りを固めようとした。

 しかし、朱里の重い一撃を顔に食らってしまったために炎を解いてしまった。

 すかさず竜二はもう一度踏み込み黒腕で腹に一撃を与える。

 颯と同じく壁まで吹っ飛ばされ、ぐったりと倒れた。


『畑宗次郎、意識喪失(ロスコンシャスネス)勝者(ウィナー)、畑槻朱里、坂本竜二!』


 二人はお互いの腕をぶつけ合い勝利を祝う。

 会場を出て控室で着替え終わり教室へ戻る途中、天羽に会った。


「お疲れ、二人とも」

「ああ、お疲れ様」

「何か用かしら?」

「夕方、食堂に来てくれないか?」

「食堂に?」

「……良いけれど、何をするのよ?」

「それは来てからのお楽しみって事で、な」


 その誘いを不思議に思いながらも、天羽と別れた二人は商店街で時間を潰し食堂に向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ