王様は誰ですか?
王様ゲームとは、人数分の棒(例えば割り箸とかアイスキャンデーの棒など)を用意し、そのうちの1本に印を、残りには1から順に番号を付け、印が見えない状態で箱に入れるなり誰かが持つなりして「王様だーれだ」のかけ声で全員が一斉に棒を引く。
印が付いている棒を引いた人が王様となり、王様は番号を宣言してその人に何でも命令出来る。
そして、宣言された番号の人はその命令に必ず従わなければならない、という定番ゲームである。
しかし、やるにあたって一つ問題がある。
「それで、どうやって王様ゲームをするんだ?」
王様ゲームをする事は構わないが、肝心の棒がここには無い。
天羽の質問に皆がどうしようかと考えていると、何かを思いついた鳴子が麻耶に聞く。
「あ、そうだ。麻耶の能力で王様ゲーム用の棒って作れないの? さっきのみたいにさ」
「え、そうね。細くて、平たくて、アイスの棒みたいな……」
独り言を言いながら手を合わせると、目の前に紫色の魔法陣が出現し、六本の平たい棒が出てきた。
魔法陣から落ちる棒を空中で素早く取ると、自分の制服の胸ポケットなどを触り何かを探し始める。
しかし、目当ての物が無かったのか少し残念そうな顔をすると、瑠璃子は自分の胸ポケットからペンを取り出して麻耶に渡す。
「……ペンならありますよ?」
「あ、ありがとう」
どうやら探していたのはペンだったようだ。
瑠璃子からペンを受け取ると、棒に星マークと番号を書いていく。
「宮本さん、ありがとう。返すわね」
「はい」
ペンを返すと、麻耶はマークと数字が書かれた部分を下にして手で隠すように握り輪の中心に手を伸ばす。
それに合わせて皆は棒を一本ずつつまみ、お互いの顔を見て、せーので引っ張る。
「「「王様だーれだ」」」
と、天羽が取った棒には『3』と書かれていた。
ま、流石に最初は無いか。
王様は誰だと皆の顔を見ると、鳴子が突然立ち上がり勝ち誇ったように棒を掲げる。
「王様は私だ! 何を命令しよっかなー」
王様の鳴子は腕を組んで少し考えてから、皆に命令を下した。
「じゃあ、二番と五番がハグする!」
「五番は私デース!」
「に、二番は私です……」
すると、フェルンとナンシーが立ち上がり、フェルンはちょっと緊張しているが、ナンシーは気にする事なく何の前振りも無しに思いっきり抱きしめる。
「フェルンちゃんと、ハグデース! ちっちゃくてカワイイですネー!」
「ふぁあああ! な、なな、ナンシーさん!?」
フェルンは突然のことで少しパニックのようになっていた。
こうして二人を見ると、ナンシーの身長の高さがわかる。
フェルンは天羽より背が低く、多分150cmほどだろう。
でも、ナンシーの胸のあたりにフェルンの頭があるのを見ると、おそらくナンシーの身長は180cm前後程だと思われる。
ちなみに天羽の身長は168cmだ。
すると、瑠璃子が何かに気が付いてナンシーに言う。
「ナンシー、フェルンさんが苦しがっていますよ」
「わっ、ごめんねフェルンちゃん! だいじょうブ?」
「だ、大丈夫です……」
ナンシーはしゃがみ、ふらふらしているフェルンを心配そうに見つめていた。
心配を掛けまいと踏みとどまり、ゆっくりと呼吸を整えてナンシーを見る。
「ん……もう、大丈夫です。ありがとうございます」
「なら良かっタ!」
二人が席に座ると、鳴子は皆から棒を集めて輪の中心に手を伸ばす。
そして再び、
「「「王様だーれだ」」」
と、天羽が取った棒には『2』と書かれていた。
また王様になれなかった。まぁ、まだ二回目だし? 次がある、次が。
今回の王様は誰だと皆の顔を見ると、勢いよく立ち上がったのはナンシーだった。
「次は私が王様デース!」
外人が考える命令ってなんかやばそう。
その心配は的中した。
ナンシーは皆を眺めて少しニヤつき、
「では、四番の人が二番の人をお姫様だっこしてくだサーイ!」
「マジか!?」
「あ、四番私だ」
四番は鳴子で二番は天羽、しかも天羽がだっこされる側になってしまった。
最悪だ、逆ならともかく俺がされる側になるとは……しかし、王様の命令は絶対である。
溜息混じりに立ち上がると鳴子はすぐに立ち上がり、ニヤニヤと変な笑顔で近づき手慣れたようにお姫様だっこした。
「麗城君って軽いね。それに、中性的な顔だし女装したら似合うんじゃない?」
「絶対に嫌だ!」
「なんだ、つまんないの……んじゃ、下ろすね」
よいしょと言ってゆっくり下すと、天羽は鳴子の身長の高さに驚いた。
俺の頭がなるの肩の位置辺りにあるということは、ナンシー同様になるの身長も180cm前後あるのだろうか? ナンシーとなるが並んだら、どっちの方が背が高いのか気になるな。
天羽と鳴子は自分の席に座り、ナンシーが皆の棒を集めて手を輪の中心に伸ばす。
次こそは……!
「「「王様だーれだ」」」
と、取った棒を見ると『☆』マークが書かれていた。
「王様は俺だー!」
嬉しさのあまり勢いよく立ち上がり、腕組みをしながら皆を眺めて命令を下す。
「じゃあ……1番と3番はポッキィゲームをしろ!」
「はぁ!?」
「なっ! は、破廉恥な!」
顔を赤くした麻耶と瑠璃子は、お約束のポッキィゲームをすることになった。




