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終わりのない世界より  作者: 折野武太郎
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彼の第二の物語

終わりのない世界より


序章


人間誰しも、やるべき事、避けることのできない事がある。例えば、息をすること。息をしなければ体に酸素が回らない。だから死ぬ。例えば、栄養をとること。食べたり飲んだり、点滴で栄養を体に取り入れなければ死ぬ。こんな感じに人という動物は生命活動のためにやるべきことがたくさんある。けれども、逆に避けることのできない事もある。そんなのは単純で、一つしかない。生を受けたものが必ずしも避けることができない事。それは『死ぬこと』だ。『死ぬこと』なんてそう遠い話ではないのだが、いつ死ぬかなんてわかるものではない。ある時原因不明の奇病で死ぬかもしれない。旅行中にテロに巻き込まれて死ぬかもしれない。突然見知らぬ人に刺されるかもしれない。かと言って、ちゃんと寿命を全うして老衰で死ぬかもしれない。ガンで病院に入院することになり、そこで死ぬかもしれない。それが人で、それがやるべき事だと思う。

ただ実際、そんな物騒なものを考える機会はあったとしても、ちゃんと向き合う時間を取るか、というものはあるわけもない。病気とか、年老いてからじゃないとそんな機会を作ろうとさえ思わない。それほど時間に暇じゃないし、遠い未来ことだと割り切って考えもしない。でも、生きていればそういう時間がある。少なからず、考える時間を作ろうと思えば作れる。ただ作ろうとしないだけである。作れないし、作ろうとしないから。だから『死ぬこと』から目を背けたりする。それは仕方がないことで、必然である。そりゃそんなもの考えても、生きていることが楽しくなるわけでもなく、逆に落ち込む程に面白くもない。まだ今日の晩御飯を考えたり、自分の好きなアイドルを妄想していた方がよっぽど楽で、よっぽど楽しい。そんなのは誰でも思うことだ。


だけど、死んでしまったらどうするのだろうか。


『死ぬこと』を考えずにのうのうと生きていて、死ぬ直前になっても生きることを考えて、そのままあっさり死ぬ。でも死んでしまったら生きることも死ぬことも意味がない。もっとあそこでこうしとけば良かった、ちゃんとこうやって死にたかった。そんな生きていれば考えることができたのに、死んでしまっては意味がない。それが生きている時に避けることができないことで、それが必然で、仕方の無いことである。でも、避けることのできない事を済ませてしまったら、次は何が待ってるのだろうか。死んだ後は、何が残るのか。



task1


唐突で悪いが、読者に謝罪しなければならない。いきなりなんだ、と思われるかもしれないが、理由は簡単だ。この物語、強いていうなら私、砂倉題の人生という物語はもう終わっている。終わっている、という言い方は不適切だろう。私の生きている時間と、私の生きていた時の物語が終わっているのだ。要するに、死んだのだ。ということで、この時点で今から語れる物語がない。じゃあそのお前の生涯を洗いざらい語れと言うかもしれないが、それも覚えていない。生前の記憶がすっぽり無くなっていて、名前と死んだという事実ぐらいしか記憶になかった。どこに生まれて、どこで生きて、どこで死んだのかすら覚えてなかったが、名前と死んだことは覚えている。どんな波乱万丈な人生でも、どんな平々凡々な人生でも、語れるものがなければ意味がない。なので、自分が作って自分で完結した物語すら語ることができない。だから誠に申し訳ない、という一言だけしか言えない。物語の語り手に語る物語がなければ、その語り手に何も残っていない。しかし、こうやって話すことができるのは『生きている』からなのだろう。死んでいて、生きている。つまり死後の世界だ。そう考えるのが妥当なのだと判断しただけなのだが。死後の世界だと考えたとしても天国なのか地獄なのか、はたまた別の世界なのか。そんな矛盾みたいなことを考えても先に進まないし、かと言って先に進もうとしても何も無いのでできない。ただ、見慣れない学生服を着て、自分一人だけの教室の一番右端の一番後の席に座っていた。気づいたら座っていた。どうやってここに来たのかもわからず、なぜこの席を選んだのかもわからない。しかし目の前に机の上に一通の手紙が置いてあり、ご丁寧に封筒の中に手紙を入れていた。しかも封筒にはご丁寧に『砂倉題様へ』と書かれている。こんな風に置いていたら、何か重大なことを宣告されるのかと身構えてしまう。どこかに左遷でもされるのか、処刑宣告でもされるのか。怖くて仕方なかったが、おずおずと封筒を開けてみると

「やったね!君は死んだんだよ!これからは死後の世界で楽しもう!」

…馬鹿みたいに清々しく、お前は死んだ、と宣告された。まぁ頭の中にあったのだからわかっていたのだが、こうも清々しいと死んだことが嘘じゃないのか、と思ってしまう。というか嘘じゃないのか、これ。そもそも死んでるんじゃなくてどこかに拉致されたんじゃないのかと思ってしまう。もしかして拉致られた?

まぁそんなのをいつまでも考えていては先に進むどころの話じゃないので行動することにした。ここが砂倉題の新しい物語の始まりだった。というか、そもそも死んだのに新しいスタートを切った、というのはおかしいと言うかなんというか。第二の人生、というのも違うし、転生、というのも違う。どっちも『生』が付く時点で、死んだ人には到底似合わない言葉なんだから。

とりあえず死んだことはわかっているが、死んだ自体実感はない上に、生前の記憶も何も知らないままではやっていけないと思って教室を出た。私のいた教室の中の席は全部で20席で、教室の広さを考えれば多少は少ないように感じる。校舎は3階建てで、校内は一般的な学校と同じ構造だろうが、教室には全く人がいない。というより、私がいた教室とだいたい同じ間取りで、特に変なところはない。窓の外を見るとほとんど真っ暗だが、学校の近くに街らしきものが見える。が、そこまで明かりがないので今のこの世界は深夜なのかもしれない。そもそも昼夜があるかどうかすら怪しいが。真逆に学校の中は明るく、全教室にはもちろん、廊下の電灯もちゃんと明かりがついている。そんなことを確認しながらこれが死後の世界なのか、と色々考えながら回っていると、3階の一番奥の部屋のプレートに「神の部屋」と先程の手紙と同じ人が書いたらしき字で書いていた。

(神…ねぇ。どんなやつなんだろうか…いや、そもそも人なのか)

できれば、神様は人の姿であって欲しい。でないと会話できないし、犬とか猫とかの姿で喋られても気持ち悪いだけだし…。いや、そもそも神様の言語は日本語なのか?英語とか外国語とか、わからない言語を使われたら今の状況がさらに悪くなるような…。

とか色々どうでも良さそうなことを考えながら私はそのドアを開けると…


パァーン!

「ようこそ死後の世界へ!この僕が神だ!」

バタン!

驚いて扉を閉めてしまった。そりゃ扉を開けた途端に机の上に立ってる少年に大声で名乗られた挙句、クラッカーで歓迎されたんだから無理もない…はずだ。というかなんなんだ、あれは。神様を自称する少年が、机の上に立ってクッカーを鳴らす?いや、これは嘘だ。嘘というかドッキリだろこれ。あれを神様だと信じたとしてもドッキリかなにかだろ。そうでなかったらあんな馬鹿みたいなことはしないはずだ。もう一度出直そう。

…ガチャ

パァーン!

「ようこそ死後の世界へ!この僕が神だ!」

「………………。」

何も変わってないし。この状況をどうしろというんだ。

「砂倉題くん、だよね?僕は神だよ!」

「…そうですが。」

とりあえず頭を抱えたくなった。いきなりドアを開けたら机の上に立っている少年にクラッカーで出迎えられた挙句、自分は神だ、と宣言している状況を誰が予想できただろうか。しかも2回も、だ。なんですか、私は新しいゲームとかなんかに参加させられてこんな状況にいるんですか。いやそうでなくても、そもそもこんなのが

「本当に神なのか。」

「……!」

「て、思ってるんでしょ。まぁ最初はみんなそう思うんだよ。そりゃ当然さ。こんな得体もしれないガキに、いきなり神だ、と宣言されても戸惑うし、疑うけど、僕は正真正銘の神だ。この事実に嘘はないからちゃんと伝えたまでだよ。あと、初対面の人にはちゃんと挨拶しないとね。」

そう言って、見透かしたことに満足しているかのような笑顔を向けてきた。こう言われてしまえば疑うことに意味がなくなる。疑っても本人はそう思ってるし、そう言っているんだからこっちが疑おうがどうしようがそれについては無意味だ。疑う気持ちがあっても、それが解決しようが今は関係ない。それより必要なのは

「こんな得体の知れない僕の自己紹介より今の状況の方が知りたいかな?」

「…お見通しですか、神様は。」

「ハハッ、僕が自己紹介してすぐに神様と呼んでくれる人はそうそういないよ。嬉しい限りさ。」

「…そうですか。」

本当に神様であるのならば、人の考えることぐらい全部お見通しなのだろう、と今はそう思うしかない。まぁこんなことぐらいは普通に察せるのだろうけど、いきなり見透かされたようなことを言われたら驚かざるを得ない。

「で、今の君の状況だけど、君は死にました。そして、死後の世界に来ました。以上ですよ。」

「…は?」

「え、なにか疑問点があるの?」

「いや、それ以外はないのかな…て?」

そんな知ってることを聞いてるのではない。それ以外のことを聞いているのだ。疑問点どころじゃなくて、その先のことを聞きたい。今更わかってることを言われてもどうしろと言うんだ、この自称神様は。

「と言っても、これが大前提なんだよ。これを言ってもまだ信じない人とかいっぱい見るけどね。」

と言いながら自称神様は自分の立っていた机の引き出しからゲーム機を取り出し、机の上に座って遊び始めた。そりゃそうだろう。それが頭の中でわかっていたとしても、いきなりそんな宣告を他人、しかも得体の知れない少年(自称神様)に言われても信じろという方が難しい人もいるだろう。ただ、やっぱりその事実があったとしても、情報が足りない。圧倒的に足りない。

「…それ以外に何かないのですか。」

「うーん…じゃあそれを前提に話すとしたら、君はいくらでも死ぬことができます。どんな死に方でもOKです。自分を焼いて死のうが、溺れて死のうが、首を切って死のうが自由です。好きに死んでください。あーでも死んだらちゃんと生き返ってここに帰ってこれますよ。安心してくださいね。」

と、そう言ってゲームから一旦目を離して満面の笑みをこちらに向けてきた。

「……はい?」

いや、死後の世界なんだから別にここで死んでも影響はないんだろうが…ていうか普通死ぬことを進んでやるわけないだろ。いくらでも死んでいいです、て言われてもはいそうですか、と自殺するやつがいると思うのか。でも、その言い方ならこう考えた方がいいのか…。まるでそうしろと言っているしか聞こえない。死んでくれ、としか聞こえない。

「…お前は私に、『もう一度死ね』と言っているんですか。」

「That's right!」

パァーン!

またクラッカーが部屋に響いた。というかいつの間にゲームを置いてクラッカーなんて用意したんだこの自称神様は。

「……。」

というよりも普通に死ねという神様が生きているうちにいただろうか。多分記憶がなくてもいないはずだ。いたとしても怪しい宗教団体とかじゃないのか。私、怪しい宗教に入った覚えはないですよ?生前の記憶がないから確証はないけど、すぐに死ねと言われる宗教団体なんて知らないだろうし。というか普通はそんなことで死にたくないし。

「まぁ普通に死んでくれ、てわけじゃないけど。死んだことに対してのメリットはあるさ。」

「どういうことですか…?」

「生前の死に方をもう一度すれば、ゲームクリアになるのです!」

パチパチパチ…

乾いた拍手(1人)が部屋によく響く。なんだろう、なんか一気に虚しくなった。

「要するに、生前にやった死に方をそのままやれば、成仏なり転生なりできる、と。」

「そういうこと。理解が早くて助かるよ。」

「……。」

また頭を抱えたくなる。そこら辺のトラウマを掘り返すよりずっと酷い。生前でやった死に方をもう一回、て。生きていた人生最大のトラウマを掘り返せ、て。残酷以外にどう捉えたらいいのかわからない。どうやって死んだのかにもよるが、死に方によっては目も当てられない。

「まぁ残念ながら、病気や老衰とかで死んだ人はこの世界には来ないから。基本的には自殺、もしくは他殺のみ。ただし他殺に関してのゲームクリアは、自分がどこをやられて死んだか、それがわかれば、あとは自分でできるなら自分で実行する。そうすればゲームクリアになる。」

「…例えば。」

「例えば…そうだな、首を絞められて死んだなら、自分で首を絞めて死ぬ。突き落とされて死んだなら、自分から飛び降りて死ぬ。そうすればゲームクリア。OK?」

「……。」

「ちなみに、自殺を他殺で置き換えるのもアリだ。自分で飛び降りて死んだ、けれども今は自分で死ぬことが怖い。なら、他人に背中を押してもらえばいい。そうすれば、ゲームクリアだ。」

頭どころか、全身が痛い。何もダメージを受けてないのに、全身から血が出るような、そんな感じだ。普通ではない恐怖と自分の体で死ぬことを想像してしまう。いきなり簡単に『死』を平然と口走ってるから、もあるだろうが、それよりも一番恐怖を覚えるのが、簡単に人を殺せること、簡単に自殺できることだ。簡単に自分も他人も殺せる。ちゃんと死ぬまでここに生き返るのだから、自分で自分の命を奪おうが、他人の命を奪おうが命に対する意識は軽く見られるだろうし、他人を殺しても罪の意識は軽いだろう。しかし、それが自称神様の言うゲームクリアになる死に方じゃなければ?そうなればまた死ななければならない。死ぬまで死ぬ苦痛を味わうことになる。痛みだろうが苦しさだろうが、それを違うパターンで味わうことになる。何度も何度もその辛さを味わって、死んでいく。そんなの

「地獄じゃないか。」

「…!!」

「まぁ確かに、ここは地獄に近いのかもね。ちゃんと死ぬまで永遠に死の苦しみを味わうことになる。ある意味無限地獄だ。でも、こうも考えられる。『死ぬのが嫌なら、死ななければいい』と。」

「…どういう意味ですか。」

「だって、何度も死ねる。でも、成仏や転生なんてものを望まなければ死ぬ必要はない。永遠にここに留まればいい。」

「……。」

「さらに言ってしまえば、何回も死ねる、という事は多少無茶をしようが大丈夫、てことにもなる。例えば、生前にできなかった、危険なことを何度でもできる。サーカス団みたいな危険な芸当も、生前にできなかった車の運転や飛行機の操縦もここではできる。しかも、それが生前に事故で死んだのならば、車や飛行機で事故を起こして死んで成仏や転生ができる。いいことだらけじゃないか。」

それは見方の問題だ。死ぬことが怖いなら永遠にここに留まる、ていうのも一つの見方だ。ただ、それは逆に他人の死を何回も見る、ということになる。永遠に生きるということは、その間に何回も人の死を見る、ということになる。まぁみんながみんな、永遠にここに留まることを選べば見ることはないのだろうが、誰しもがそう思うとは限らない。こんな何回も死ねるような怖い世界にいたくない、ていう人も出てくるだろうし、早く転生でも何でもしたい、ていう人もいるだろう。そうなれば他人が死ぬところを見ることになるかもしれない。結局、どうしようが人の死に関わらない、ていうことはできない。さらに多少無茶ができるということは、いろんな職業に手を出せる。ただ、やりたい職業をやっても死んだら苦痛を味わうことは事実で、その死に方が成仏や転生になる死に方じゃなければ、またどこかで死ななければならなくなる。練習してできるようになりたい、と同じ職業を続け、同じ死に方を何回も経験する、ということも考えられる。結論として、どちらにせよ死に関わらない、という選択肢はないし、留まろうが成仏や転生なんかしようが、苦痛を受けることには何ら変わりない。

「…いいことだらけ、ではないだろ。結局死に関わらないといけないのは事実だし。」

「まぁ確かに。でも選択肢が増えることには変わりない。君がどう思おうが、他の人はこの事についてプラスに考える人もいるだろうし。それに関しては否定できないからね。」

「……。」

「それに、死んだ後ぐらい自分の自由にさせて欲しいでしょ?」

と言いながら自称神様は机に置いていたゲームを机にしまって、代わりに黒い光沢を放つ一丁のリボルバー拳銃を取り出した。

「なんで神様がそんな物騒なものを持ってるんですか。」

「そりゃ死後の世界だからこういうのもあるさ。さっきの職業の話の補足と言ってはなんだが、大体のものはこの世界にあるよ。それがその人の死んだ凶器になったりするからね。」

そう言いながら自称神様はリボルバーに弾を込め始めた。死後の世界とはいえ、銃を間近で見せられると少しドキドキする。

「まぁだから銃もあるわけで。…と、そんなのは待た追々わかるよ。」

と、弾を込めセットした銃を構え、こちらに銃口を向ける。

「…で、その銃をどうするんですか。」

「どうするも何も、このトリガーを引けばおしまい。そうすれば君は死ぬ。」

「……そりゃそうでしょうよ。」

こうして人に銃を向けてくる神様なんていただろうか。正直な話、恐怖と安心感がある。自分は殺される、という恐怖と死んでも生き返る、という安心感。生前だったら前者だけしかないだろうが、ここは死後の世界。さらに死んでも生き返る、というオマケ付き。それがあるせいで安心感があるのだろう。

「…案外落ち着いてるね。」

「いえいえ、超ビビってますよ。冷や汗出てますし。」

「…別にそうは見えないけど。まぁいいか。それより、君は生前銃で死んだと思う?」

「いや、流石にそうは思わないですね。そんな物騒なもので自殺しないだろうし、殺されたりしていないかと。」

そもそも銃で殺される場面なんてそうそうないだろう。というよりも、銃で死ぬ場面なんて想像したくもない。

「まぁ、そっか。君みたいのが銃で死ぬわけないよね。」

「そうですよ。そもそも私にとってはそんな非現実的な物で死んだらずっと記憶に残ってるはずですよ。」

「……まぁそうだよね。」

「だから、そんな物騒なもので私を殺そうなんて考えないでくださいよ。怖いですよ。」

死ぬ事は怖いのは事実だ。できればやめて欲しい。

「ま、恒例行事みたいな感じだから辞めないけどね。」

「そうですか…。」

「そういうものなんだよ。まぁ、そう考えれば少しは楽になるでしょ。だから、頑張ってね。」

そう言って自称神様神様は躊躇いもなくトリガーを引いた。バァン、と音がして体が吹っ飛んだのは覚えているが、それ以降は覚えていない、と言うか目の前が見えなくなった。ああ、こうやって人は死んでいくんだな、というある種悟ったような感覚と無常感を覚えて死んだ。

こうして、砂倉題は死後の世界で初めて死を経験した。こんな終わりのない世界での第二の砂倉題の物語の始まりだった。


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