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……人に流されてすごく不味い場所に入りこんでしまったのか。こんなとこ見つかりでもしたらまず間違いなく……死刑だ。
辻馬車で揺れること約半日、アラン達は役人に連行されることなく王都内に入ることができたわけだが……。
アランはごくりとつばを飲み込む。その顔は青いを通り越して真っ白になっていた。
「ごめん……めんどうなことになっちゃった」
「何が?」
相手は目をぱちくり首を傾げる。このお坊ちゃまはどうやら状況がよく分かってないらしい。
(まあ、貴族なんだし当たり前なのかな)
そう思い苦笑する。屋敷の外のことはてんで何一つ知らないのだからそんな反応をしても不思議ではないのだ。
「あのね、今僕らがいるこの場所は、国王がいるお城の敷地でね、普通だったら入ろうと思っても入れないんだけれど今は祭りで警備が手薄になっちゃったのかもしれない。異例なことが起こっちゃった、てわけだね」
「え……それって何かいけない?」
「立ち入り禁止なんだよ。関係者以外は。もし侵入なんてしたら……首が、飛んじゃう!」
「く、くくく、首が」
ニコルは途端さあっと真っ青な顔をして目をあっちこっち彷徨わせた。状況が分かったかな?
それを確認してアランは彼の手を引き草木の間を縫って進む。見つかったら命がない。慎重に……そう思って頑張っていたのに!
「痛っ。なんでこんなにささるのかなあ、木の枝って!」
「ニコル……君、やっぱりよく分かってないね、この状況」
「何が?」
きょとん、首を傾げるニコル。思わず溜息が出た。案の定、話し声を聞きつけて衛兵たちがやってくる。
だが、ラッキーなことに彼らは大勢ではなかった。二、三人といったところ。おまけに、不用心にも足音が目立っている。気配が濃密だ。多分、新人に守らせているのだろう。ベテランは酒屋か国王の許で頭を垂れているか、だ。
「ニコル、君は……じっとしてて」腰に下げた剣をそっと引き抜く。
「え? うん」
「下手に動いたら殺されるよ。それでもいいっていうんなら好きにすればいい」
二コルは細身の剣を握りこんだ彼を見つめ、驚いたように言った。
「君、もしかして戦うの? あの人たちと」
「だって逃げらんないでしょこの状況」
そう言うと、アランはそろそろと草の茂みから姿を現した。




