馬鹿二人
「違うの…違うのタイガ!!!!!
私…悲しくないの………それが悲しい辛い苦しい。
少しは悲しいよ…もちろん。
涙も出たし…苦しいし憎いし殺してやりたくなった。
…………けど、私は実際にはそんなことできない。
ナツカさんのために、敵討ちをすることが出来ない。
ランさんやアーテルさん、お兄様のことを敵なんて思えない…!
本当にナツカさんを悼むなら…今すぐ私が死ねば良いんだもの!!!!」
「エミヤ!」
「でもね…だけどできない……絶対にできないの………
タイガのためとか、お兄様のためとか、颯天さんのためとか、友達のためとか…そんなんじゃなくて…………
ただ…ただ…!
私が死にたくなくなっちゃったの…!!!」
「!」
「良いこと…?
良いことじゃない!!!!
…解らない。
ただ、私は今、人の死を…人の生を踏みにじってでも生きたいと思ってる!!!!!
それが苦しい。辛い。
これは、ナツカさんよりも自分のことが可愛いから!!!!
前はこんなこと思ったりしなかった…!
ナツカさんの…誰かのためなら簡単に自分の命なんて捨てられた!!!!!!
綺麗だった………けど今は………!!!!」
「エミヤ……………」
「だけど、それはきっと、人として当たり前のことで…
前の私よりずっと…ずっと、人間らしいことで…
人らしいことが、こんなにも、苦しいとは思わなかった。
こんなにも苦しくて悲しくて、幸せに満溢れてて…それと同じくらい不安で…!
手放したくないものとは思わなかった!!!!」
「俺には、解らない。
俺は…お前以外どうでも良いから
お前よりも、ずっと、冷酷だから
お前以外の誰かを、思えないって…苦しんだりはできない。
そんな風に苦しめるお前は、それだけでも十分、人のことを愛してるんだろう…
そんなお前を愛しく思う反面、俺はお前をそんな風に苦しませる…お前以外のすべての存在が憎く思えてくる…。
でも………お前には、その人は必要なんだろう。」
「……………どっちが…っ」
「お前だよ。」




