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異端のLegitima   作者: 瑞希
『大切な君』
9/100

『夢…だよね。』

遅れてすみません<(_ _)>

“……ここはどこ?”

気が付くと周りには何もない。

深い深い。どこまでも続くような闇が広がっていた。

自分が目を開けてるのか閉じてるのか、

それすら解らなくなるような、永遠と広がる闇。


“タイガ!みんな!…誰も居ないの………?”

精一杯叫んでも、その声は闇に消されてしまう。

誰もいない。何もない。何も聞こえない。

言い知れない恐怖に襲われ、私は闇を走り出した。

沼の中にいるように足が思ったように動かない。

それでも、走り続けていると、光が見えた。


“…光だ!”

光に向かって走ると、光が溢れて目が眩んだ。

徐々に光に慣れ、そっと目を開けると

タイガや部長さんたちが居た。


”みんな!”

私は嬉しくなって、温もりを確かめようとタイガに触れた。

しかし、私が触れた途端

みんな、跡形もなく砂になってしまった。


「消えちゃったね」

”…誰?”

誰も居なくなってしまった絶望に、

私がへたれ込んでいると、頭に響くような声が聞こえた。

顔をあげると、そこにぼやっとした影があった。


「君のせいだ。」

”私の………せい…?”

頭によぎっていた考えを

言葉にして言われ、私は愕然とした。


「そう。君のせい。

 君が居るせいで仲間は傷つき、消える。」

私が触れた途端に砂になってしまったみんな。

絶望が胸一杯に広がり、自然と涙が出てきた。

私が一緒に居ると不幸になる。昔、誰かに言われた。


「一緒に行こう。僕と来れば、

 悲しいことも辛いことも無くなるよ。」

そっと、優しく私に伸ばされた手は、

驚くほど白く。そして綺麗だった。

何かに引き寄せられるように手を伸ばした。

そのとき


「エ……!エ…ヤ!」

遠くから誰かの声が微かに聞こえた。


”誰なの…?”

私は主を探すため辺りをを見回した。


「空耳だよ…さあ。」

影は私に早く来るように促す。

だけど、違う。空耳じゃない確かに聞こえた。


”空耳…?違う。空耳なんかじゃないよ”

そう。空耳じゃない。こいつの言葉に耳を貸してはいけない。

確信した私は声に向かって思いっきり手を伸ばした。




「エミヤ!」

タイガが最後に大きく呼ぶとエミヤは目を覚ました。

そこは真っ暗な空間ではなく。

いつも通りの自分の部屋のベッド。


「夢…?」

自分の声が聴こえたことに安心したエミヤは

まだ微かに震えている両手を握りしめ

ドクドク早く鳴っている心臓を落ち着かせようと深呼吸した。


「エミヤ?大丈夫か?うなされてたぞ…?」

見るとエミヤの隣にはタイガが居た。

恐る恐る、タイガの肩に触り

エミヤは確かな温もりを噛み締めるようにタイガを抱き締めた。

(ああ、大丈夫。タイガはここに居るんだ。)


「エミヤ!?どうした?」

タイガはしばらく慌ててたが、

直に落ち着き安心させようとエミヤの頭を優しく撫でた。


「落ち着いたか」

「うん…

 何かすごく怖い夢をみた気がする」

エミヤは涙目のまま不思議な気持ちでタイガに言った。


「だからその内容を~」

タイガはティッシュ箱を取ってエミヤに渡した。


「すごく暗くて…?」

首を傾げあやふやな記憶を思い出そうとしたが

暗かった。それ以上は何も思い出せない。

うなされていたらしいが、それすら全く記憶にないエミヤは

タイガが心配しているのが不思議だった。


「まー、いいや」

そう言ってそっとエミヤの頭を撫で、

ティッシュ箱受け取り元の場所に戻した。


「この年で夢で泣いちゃったとか誰にもいえない…」

赤くなったエミヤは今の記憶を黒歴史に入れた。


「じゃあ、俺着替えてくるな」

タイガは二階に続く階段を登って着替えにいった。

エミヤも自分の部屋に戻ってパジャマから着替えた。


「…エミヤ大丈夫かな」

着替えながら隣のエミヤの部屋を気にすると

床にあったパジャマに足を滑らせて豪快に転けた。


「ってて……俺こそ大丈夫か…」

自分に突っ込みを入れ、タイガはさっさと着替えた。




「エミヤちゃん、タイガくん早かったわね」

エミヤたちが約束の五分前に着くと、

既にサキアとハヤテが時計塔に居た。


「すいません、待たせちゃいましたか?」

「ううん。」

サキアがそう答えると、ハヤテが豪快に欠伸した。

エミヤもハヤテにつられて欠伸をした。


「エミヤちゃん、寝不足?」

「ぐっ…」

「そういう訳では…

 って部長さん!?」

サキアがハヤテのみぞおちを

肘で殴りながらエミヤに微笑んだ。

エミヤはみぞおちを抑え、

苦しんでいるハヤテを見て驚いた。


「気にしなくて良いわよ

 単なる目覚ましだから」

タイガにはサキアの微笑みがいつも自分を叩き起こす

エミヤと重なって見えて震え上がった。


「タイガくんが震えなくても…」

サキアが微苦笑いを浮かべていると

ユキカとナツカが来た。


「ふぁあ、おはよー」

「もう昼だけど」

ナツカが双子の妹に

冷たい視線を向け四人にお辞儀した。


「じゃあ、行きましょうか」

「あ、はい」

エミヤたちは目的地に向かって歩き出した。

向かう場所はテレビ局。

何故中学生がそんな場所に行くのかというと

エミヤはプロの歌手でありテレビでも人気なのだ。

エミヤの出演するドラマの子供のエキストラさんが

貧血やら風邪やらで居なくなってしまったのだ。

そこでエミヤの友人である

ハヤテ、サキア、ユキカ、ナツカ、タイガが

代役として出演することになった。


「ここです」

ロケ地に着くとタイガとユキカは興味津々に周りを見渡した。


「この子たちねエミヤの友達って」

エミヤのマネージャーである

芝崎しばさき 佳代かよが近寄り五人をじーっとみて頷いた。


「この子たちならOKね!」

エミヤは佳代がまとう優しげな雰囲気に、少し疑問を抱いた。

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