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異端のLegitima   作者: 瑞希
《夜ノ流転》
80/100

《橘 聖羅》

「それで、今日は学校に行くんだろ?」


「…はい。

 そろそろ行こうかと思います」

騒ぎになるからと言う理由で、通勤、通学時間を避けた午後頃から行くように言われていた。


「もう冷えるから、…気を付けてな。」

ハヤテさんの言葉に、私は微笑んで頷いた。

もう、10月も終わりが近付いてきた。

長いようで、短い一月ひとつきだった。………3年だった。

15年余りだった。


それでも、まだまだ続いていくんだろう。




「おはよう、エミヤ」

結局、セイラ達とは3年間クラスが同じだった。

それに、タイガとも。イリヤくんとタカくんともだ。


「はよ」

「おは~」

「よ」

みんな、騒ぎにならないように…、小声で挨拶してくれた。

私は一人一人に笑いかけながら、自分の席へ着いた。


「少し前に席替えしたんだ。

 よろしくね」

そう言いながら教科書を見せてくれた男の子に、私は軽く微笑んだ。

名前なんだったかな、とちょっと考え………5秒考えても思い出せなかったので諦めた。

この子には名乗られてない。


「ねぇねぇ」

それから何度か話し掛けられた。

曖昧に返事はしたけど、能力レジの事とかまで聞かれるようになって流石にどうしようか…と思っていると、碓氷先生が授業中だ。と注意してくれた。

そうすると、その男の子の質問責めはピタリと止んで安心した。


気になる気持ちは理解はできるけど、不躾に何度も沢山の…似たような質問をされる私の気持ちも考えてほしい……とは言わない。

考えたところで解るはずもないのだ。

だから多少は無下にするのに、文句を言わないでほしいと切に思う。




そして授業が終わる少し前、志保さんに呼び出された。

その時間に呼んだのも、騒ぎになるのを防ぐためだろう。


「気にしないように。って何度も念を押したから、大丈夫だと思いたいけど…

 それでも来るような子が居たら、すぐに私達か友達に頼ってね。」


「無下には、しない方が良いですね」

私は声にたくさん息を含みながら言った。

ほぼ溜め息だ。


「そうね…。」

今は、イメージが大事な時期だ。

能力者レジティーマであると、公表していて、更には広報である私が…同じ学校の生徒と言えど、一般人を無下にするのは宜しくない。


「むしろ、来ない方が良かったんじゃ…」


「まだ義務教育中だからね…………

 少しでも出ないと、世間体が宜しくない…!」

拳を握って苦悩する志保さんの顔に、私は思わず笑った。


私が笑ったことで、志保先生も安心したように笑った。

「でも、本当に念を押したから。

 大丈夫だと思うんだけどね………」





「エミヤちゃん」

男の子に声をかけられた。

……………志保先生。ダメでした。

私は心のなかでガックシ…となった。


ちょっとトイレに行ってくる~と、教室を出たついでに遠出してしまったが運の尽き。

自業自得だね。と心のなかで溜め息を吐いて、男の子に向き直った。

「どちら様でしょう」


私の言葉に、男の子はあからさまな傷付いた顔をした。

「酷いなぁ…

 俺、隣のクラスなんだけど」


いや、隣のクラスなら覚えてなくても仕方がないんじゃ………。

とは、言葉には出さずに。

「ああ…そうでしたか。」

と曖昧に答える。


なのに、男の子はまた傷付いた顔をした。

「ええっ…なんで敬語?

 タメで話してよ!」


「……うん?」


男の子はやっと、傷付いた以外の顔をした。

「そうそう!

 でさぁ―」


まだ続きそうな話に、私は強制的に話を終わらせようとした。

「ごめん、タイガ…彼氏待たせてるから。」

そういって、男の子を避けて教室の方へ向かった。




「エミヤ!」

タイガの顔を見て、やっと安心した。


タイガに駆け寄ろうとすると、ガッとタイガの頭が鬼に捕まれた。

鷲掴み…………


「タイガくん…?」

ギリギリとタイガの頭を掴む手に力を込めながら、無表情で鬼は…もといセイラは首をかしげた。


セイラ様のスーパーお説教ターイム。


…佳代さんのお説教も怖いんだけど、セイラのお説教なんて中々見ないし…何故だか命の危機を感じるんだよね。

生還を祈る!タイガ!


「エミヤもよ…?」

あっっっ!?!?!!!!?!

気付けばもう片手で、私の頭は鬼に掴まれていました。












誰も居なくなった放課後。

友達はおろか、先生にすら救い出されなかった俺達………

「マジで怖かった……」

そういう俺に続いて帰ろうとするエミヤはセイラ様に腕を捕まれた。


「エミヤはまだ終わってないわよ…?」

俺じゃないのにちょっと泣きそう…


そして座らされたエミヤ。


「え、お、俺どうしよう」

今すぐ全速力で逃げてぇよぉぉぉ


「あら、まだお説教されたい…?

 まとめて二人とも送ってあげてもいいのよ」

それはあの世にと言う意味ですか…?


「お、お。お、おおお。

 じゃあ、頼むわ!」

すまん!エミヤ!

生還を祈る!

そして俺はダッシュで教室を出て、家に向かった。

送ってあげるって言うのは実際には家にっていう意味なんだろうから、大丈夫だとは思うが…


ああ、そうか。

下校時間からズラすのも志保さ…先生達の目的だったのか…?

だとすれば、万々歳か。

エミヤも、久しぶりに会ったんだもんな…。

家の外でくらい、良いか。




しばらくテレビをボーッと見ていると


外から、エミヤの足音が聞こえてきた。

………なのに、何故かドアを開ける前に足を止めた。

エミヤなのは解っていたから、しばらく待ってみると、ドアの開く音がした。

「ただいま~」


ソファーから玄関口を見つめながら、俺は口を開いた。

「おかえり

 どうだった?」

玄関から現れたエミヤの顔は、少し引きつっているように思えた。


「…普通に話してただけだったよ」


「……そうか」

考えてみれば、たちばなだしな。

ドアを開ける前に止まったのも、橘を見送っていただけかもしれん。

…それに、橘がエミヤを傷付けるようなことを言うはずもない。


『タイガ、貴方の名において誓いなさい。

 その命をしてでも、彼女を護ると。』

はじめて部活に向かう前に、橘に言われたことだった。

無論、その時は記憶が戻っては居なかったんだが…元来の潜在意識だったか、泰芽としてのエミヤを想う思いだったか、俺は二つ返事で了承した。

まあ、何者?とは思ったが。


今思えば…不思議な奴だ。

前から思っていたが、こういう状況になった以上…より…………


どっちにしても、エミヤに敵対することは絶対ないだろうし俺は構わないが。


「お前、橘のこと好きか?」


すべてはエミヤの気持ち次第だ。

俺の問にエミヤは驚いた顔をしてから、微笑んだ。

「うん、大好き。」

…それなら、良いだろう。

問題は………………あー…無いことはないが、………あんまりない!

エミヤに好きなやつが多いなんてことは、今に始まったことじゃないからな。

だからこそ、その全部を守れるくらいに…強く。

ちなみに、颯天は他にも会合だの後片付けだのがあるので学校休んでます。

サボりではないです

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