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異端のLegitima   作者: 瑞希
《夜ノ流転》
79/100

《誰にも知られたくない秘密》

『だけど君よりは、血の繋がりは強いだろう?』


俺は、嘘を吐くのが嫌いだ。

人を騙したりするのがあんまり好きじゃない…というのは、もちろん人並みには思ってるが…。

だが、それ以上に俺は、…吐こうと思えば……、騙そうと思えば、容易に出来てしまうから嫌いなんだ。嫌なんだ。

そうしようとするとき、何故だか高揚感を覚える。

楽しくなるんだ。

人を掌で転がすのが…。

ハタと我に返って、自分が凄く嫌になる。


だから俺は、なるべく力を抜いて、なるべく考えないようにして、絶対に嘘は吐かないようにしている。

まあ、普通に頑張るとか、努力するのが苦手なんだがな。


そんな俺が、…………たぶん、すごく、とても、大事に思ってる奴に、嘘を吐いた。


例え、それがどんなに汚くても、ソイツとの繋がりを持っておきたかったんだ。

…とどのつまり、俺はその“嘘”をもってして、ソイツを俺達の方に、縛った。

その自由だったはずの羽を縛り付けた。


俺達は家族だから…兄妹だから…裏切ってはダメだ……と。


俺の、一番最悪な思考が、勝手に動いて、勝手に全てのレールを敷いて、行動した。


ソイツはことごとく、そのレールにはまった。

それ以外の道なんて、見もしなかった…出来なかっただろう。

俺がそう仕向けたんだ。

偏った思考を与えて、都合の悪いものは全部知らない振りして…


だけど、違うんだ。

これだけは勘違いしないでほしい。

…俺は、俺は、最悪な思考も含めた俺も、ただお前のことを失いたくないだけだった。


俺は、お前のことを本当に家族だと…兄妹だと思っていて、大切に思ってる。とても。


…………そんな大切な奴を、俺は縛り付けた訳だが…。


だが、そんなものも、もう終わりだ。

事実を知っている奴が来たから…………


お前は、どちらを選ぶだろう…………

俺は………、もう…、大切な奴を失いたく無いよ…………………。























夜に帰国してタイガ達と話した次の朝。

「…ハヤテさん」

私は、久しぶりにハヤテさんに会っていた。

元々どんな場所だったか…もう思い出せないけど、これから大きな建物が建つ場所で、だ。

もう建設は始めているようだけど、完成にはまだまだ時間がかかるだろう。


「その……、何だ。

 ………聞いた、んだよな。」

私は頷いた。

昨日…昨晩に、タイガ達から全部聞いた。

最初は動揺したけど。


しばらく間を開けて、ハヤテさんはこっちを見ないままに恐る恐る口を開いた。

「……………どう、する………だ…?」

風が強く吹いたら消えてしまいそうな、本当に小さな声だった。

今までの頼りになる“部長さん”からは想像もつかない。

それはそれで、心地かった。


「ハヤテさんは?

 どうするんですか?」

私を見ないハヤテさんを、私は見つめた。

私は、ハテナさんとは大した繋がりのない…いわば赤の他人だ。

重大な繋がりと思っていた、異父兄妹でないことが判明したのだから。

私にはちゃーんと悪魔の父親が居た!

ハヤテさんにとって、私は家族でも何でもない…ただの悪魔だ。敵だ。

私は、純血の悪魔なのだろうから。ハーフなんかじゃなく。


「俺は、対悪魔の防衛組織を作る」

ハヤテさんは、確固たる意思を持って、私を見つめ返した。

ここは敵を迎え撃つための軍。それの本拠地だ。

まさに私が、今、世界中にふれ回っていること。

私を敵だとは露ほども思っていないような答えだった。


「ハヤテさんが考えたんですか?」


「いや…、ハンナや……そのお前のお祖母さん…?」


まさか、ハヤテさんの口から出るはずもないと思っていたその単語。

腹の奥底から何かが溢れそうになった。

「は?」

思ったより声が低く、よく通った。

お祖母さん………?

私の…血の繋がった、その人に会った………?!


「いや…っ」

動揺するハヤテさんに、私は詰め寄った。


「お祖母さん?会ったんですか?

 いつ?どこで?

 聞いたんですか…!!!?!」

私はハヤテさんに押し倒さんばかりに詰め寄った。

ハヤテさんに…知られた?全部?すべて…?!!!


「き…聞いたって、何をだ?」

ハヤテさんの困惑した顔に、私はホッと息を吐いた。


それから、私はガッと片手でハヤテさんの腕を掴んで引き寄せ、もう片手でその胸へ手を押し付けた。

「知らないでください。

 探らないでください。

 例え貴方でも、そして誰であっても、

 全て知ったのなら、私は此処に居たくない」

そう、何処にも。

例えタイガにだって私の全部を知られたくない。

誰にも言えないことなんて…、誰しもあるものでしょう?

私の全部知っていてほしい。

私が、どれだけタイガの事を愛していて

ハヤテさんや、皆さんの事を大切に思っていて

どちらの世界のことも、どれだけ守りたいと思っているか


けれど、知られたくないことだってある…!


それを探らないでほしい。

知らないでほしい。

知られてしまったからには…私は、もう、もう…!

居たくないと思ってしまったら…どうとでも出来てしまう…

私はそれが………堪らなく、恐い…っ


「解ったから…泣くなよ……」

ハヤテさんから頬へ伸ばされた手に驚いたが、それ以上に自分が泣いていたことに驚いた。


私はハッとしてハヤテさんから手を離し、離れた。


「…俺にも、誰にも知られたくないことがあるんだ。

 お前にも…親にも、サキアにもな……。」

……ハヤテさんが、サキアさんにも言いたくないことがあるのには、少し驚いた。

そこまでして、知られたくないこと…?


「気になるだろ?」

ハヤテさんは、意地悪そうな笑みを浮かべた。


初めてみるような表情に、私は少し驚いた。

けど、すぐに吹き出してしまった。

「そうですね

 とっても気になります」


ハヤテさんも同じように笑った。


ひとしきり笑うと、ハヤテは本拠地が建つという広い土地を見つめた。

「人には、たぶん何かしら秘密はあるだろうと思う。

 その大きさも重さも、人によってはそれぞれで…

 それでもソイツにとっては、凄く大事な、誰にも言えない秘密なんだ。」

私も、同じように土地を見つめた。

今はまだ、土台しかない…ただただ広いだけの土地。


「それでも、人は一人じゃ生きられない。

 人のようには…幸せにはきていけないと思う。」

自分が、真っ白で何もない空間にいるのを想像してみた。

お腹は空かない体で、眠りも必要なくて。

それなら、自分以外の人なんて必要はない。

……………必要はないけど…、そこに長いこといたら………。


「だから俺は、信じて…今は守るための組織を作ろうと思うんだ。」


「また、戦争を?」

そんなつもりはなかったのに、思わず口からついて出た。

どれだけ守ると称していても、専守防衛と言おうと、相手が戦争をするつもりならば……


「どっちにしても起こるんなら、

 防衛するべきだろうと思う。」

飾らない言葉でそう言われた。

「……そうですか。」

私は否定も肯定もしない。

何もないはずの土地に、大きな建物が、壮麗な建物が見えるようだった。


「反対か?」

ハヤテさんの言葉に、私は緩く首を振った。


肯定もしないけど

「協力します。

 私はここが好きだから…」

ハヤテさんの言う通り、どちらにしろ、魔界は攻めてくるつもりだ。

そうでなくとも、このままじゃ悪魔はいつまでだって出てくる。

今の戦力差は歴然。

この世界には、少しでも戦力が必要だろう。


「そうか。

 ……そうか。」

さらにその建物が、戦火に燃えたぎるの景色までも見えた気がした。

さらに魔界や、磁界から出る死人も……。

それだけは、本当に…嫌だな。


「エミヤ

 俺は、ここから平和を作りたいと思っている。

 今はただの防衛組織の建物が、いつか、平和の記念碑になる時が来る。

 そう思って…

 いや、俺達がそうしてみせるから。

 …だから、もう一度だけ信じてくれないか?

 俺たち……人類を。」

信じる……それは、信じて、すべてこの世界に頼って

寄り掛かると言うこと…?

いつか、裏切られる可能性はあるかもしれない。

あると思う。

それに、私達が裏切らないとも限らない。


「………ムリです。」

人類すべてを信じることなんて、もう出来るはずもない。

私はきっと、これから人を疑い続ける。

それが汚い事だとしても、信じたら大切な人を守れないかもしれないでしょう?

だから私は聖女のような、異端的思考は捨て去って、自分の思うように活きて逝く。


「どちらの種族も、信じることはできません。」

磁界の人も、魔界の人も、また悪魔も、それ以外のものも

私にとっては同じ。違いが見当たらない。


……けど、

「だけど、ハヤテさんのことは、その言葉は信じられます。」

ハヤテさんは、大切な人だから…信じてくれもなにも、疑うことなんてない。


それに、

「私はこの世界を希望を持って、生きたい。

 幸せを感じたいから。」

すべてを疑っていたら、きっと疲れてしまうから。

例え、裏切られたとしても、それが大切なら、きっと後悔はない。


「そうか。……希望か。」

少し悲しげに言ったハヤテさんに、私は敢えて精一杯の笑みを浮かべた。

「きっと、希望の光が生まれます。」


私がそういうと、ハヤテさんも微笑んでくれた。

「ひかり、か。」

例え、そのひかりが更なる絶望を生む光だったとしても、私達はただ、前へ進むだけ。

昨夜にエミヤ達が話した内容は書かれてません!

貴方の端末は正常です!

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