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異端のLegitima   作者: 瑞希
《奇怪の異能》
7/100

《黙示録 終》

私立 聖神せいしん中学1年C組。

音澤おとさわ 愛雅えみや。彼女は中学生にしてプロの歌手。

いつも明るい笑顔がエミヤの魅力のひとつなのだが…。


「みんな部活どうだった~?」

昼放課の時間。ほわんとした雰囲気を持つ、

一樹いつき 妃南ひながいつもの雰囲気で言った。


「うちはね、先輩が優しくて楽しくて

 もう、最高だったよ!」

待ってましたとばかりに、榎本えのもと 亜美あみは嬉しそうに言った。


「私は普通だったよ。

 エミヤは?何かあったんでしょ?」

「え…。特に何も…帰宅しない帰宅部だったよ!」

エミヤは一瞬驚いた顔をしたがすぐに笑い飛ばした。

(セイラにはいつもばれちゃうな~。

 気を抜かないようにしないと!)


「エミヤ…ちょっと。」

「?。なに?」

「特殊能力部…」

セイラがさらに何かを言おうとしたが。


キーンコーンカーンコーン


ちょうどチャイムが鳴ってエミヤは慌てて前に向いた。

(な、なんの話だろう…

 まさか、能力とかがさっそくバレた!?)


キーンコーンカーンコーン


「エミヤ、さっきの話だけど」

授業が終わり、セイラが話しかけた。


「うん。」

「部活で嫌なことが有ったなら

 やめたっていいのよ?

 ここだけが、あなたの世界じゃない。」

「…嫌なことなんてないよ!?

 もうっ、セイラは心配性だなぁ」

(良かった。そりゃそうだよね

 話してないんだから、知ってるわけない。)


「今はそうかもしれない。

 でも、ここが嫌になったら、必ず言って」

「うん。ありがとうセイラ。」

その言葉に私は安心してそっと微笑んだ。




「エミヤちゃん、セイラちゃん。またね」

「バイバイ~」

今日は五時間授業だったので

帰り支度を済ませたアミとヒナは帰っていった。


「俺たちも行こうぜ」

タイガがエミヤの頭に肘を乗せて言った。


「重い…………」

「じゃあね、エミヤ。」

「あ、うん。ありがとねセイラ」

エミヤがセイラに笑って手を振ると

セイラは微笑み返しながら、帰っていった。


「うん…。行こっか」

「…ああ。」


…エミヤが変だ。

理由はなんとなくは解ってる。

たちばなと話していたから、なにか言われたんだろう。


「失礼しまーす」

俺は声をかけながら扉を開け特殊能力部の部室に入った。


「いらっしゃ~い」

志保先生が笑いながらそう言った。

部室にはタイガとエミヤ以外は全員居た。


「こんにちはエミヤちゃん、タイガくん」

サキアに遠慮がちにお辞儀をしながら椅子に座った。


「エミヤ!ドラマのやつっていつ?」

ユキカ先輩は興奮気味にエミヤに言った。


「来週の土曜の予定です」

エミヤの出演するドラマの

エキストラ?かなにかが足りなくなり、

俺たちが代わりに出れることになった。


「11時に、駅前の時計塔で集合しましょう」

エミヤがそういうと俺も含め全員異論もないので頷いた。


「とにかく、じっとしていてください。

 特に…タイガとユキカ先輩は!」

案の定俺は釘を刺され、ついでにユキカ先輩も言われた。

まぁ、当然だ。これがエミヤの仕事なんだから。

本当はそんなことしなくても、

父さんと母さんが普通に養うんだが、

エミヤは出来る限り自分のことは自分でしたいらしい。


「今日は何もないから

 これ食べたら解散しましょうか」

志保先生はそういいながら、ショートケーキを持ってきた。


「わあ、ケーキですか?」

ケーキを見るとエミヤは嬉しそうに目を輝かせた。


「ええ。お祝いにね」

「やったぁ!志保先生ふとっぱら!」

「ふとっぱら!」

俺もユキカ先輩に便乗して言った。

ただでさえテンションの上がるものなのに

それを学校で食べれるのだからい

くらクールな俺もテンションが上がらずにはいられない。




「じゃあ、食べましょうか」

ショートケーキやスプーン、

飲み物をそれぞれ配り終わり志保先生が言った。


「部長さんと碓氷先生って

 甘いもの大丈夫なんですか?」

確かに部長や碓氷先生が甘いもの好き~

っていうイメージはあんまりない。

俺は結構好きだが。


「好きではないが食べれる」

「え~、甘いもの美味しいよ~」

碓氷の言葉にユキカがフォークを構えながら言った。


「俺は普通に好きだ」

「そうなんですね!

 私も甘いもの好きなんです」

エミヤはそう言って部長に嬉しそうに笑いかけた。


「…そうか」

部長もエミヤにぎこちなく口角を上げた…?

なんだ、あの表情は…。怒ってるのか?


「ハヤテが!?」

「「部長が!?」」

「「「笑った!?」」」

部員全員が椅子から立ち上がって言った。

(あれは、笑ったって言うのか?

 ぎこちなすぎるだろ。表情筋死んでるな。)


「なんだよ、俺だって笑うぞ…?」

否定はしているが、自信がないのか疑問形になっている。


「いやいや!

 ハヤテが笑ってるとこ初めてみたよ!」

「私もほとんど見たこと無いわ…」

ユキカ先輩はぶんぶんと首を振り

サキア先輩はあっかんと言う感じだ。

よほど珍しいんだろう。


「天変地異の前触れかな…」

ナツカ先輩がケーキ食べながら、ポツリとつぶやいた。

(…そこまでか)


「こんなこともあるのね………」

サキア先輩もナツカ先輩を見て

ため息交じりに席についてケーキを食べ始めた。


「俺が笑うのがそんなに珍しいか……?」

こっちが聞きたい。

何でそんな珍しい表情をエミヤには見せたんだか。

エミヤに友達が出来るのは良いことだが、

相手が男では話は変わる。

もしも2人が付き合ったりしたら…と考えると、

こう。なんというか、もやぁっとなる。

別に彼氏じゃないから、邪魔する権限はないのだが…。


「タイガ?」

当の本人であるエミヤが視界一杯に映ったせいで

危うく椅子からひっくり返るところだった。


「な、なんだ?」

「…………別に、何か停止してたから」

途端にエミヤは不機嫌そうな顔をし、

ケーキを食べ終わった皿を机の中央に重ねた。

エミヤは怒ったり機嫌が悪くなったりすると黙る癖がある。

解り易く怒ってくれてる方がまだありがたい。

いつも喋ってるエミヤが黙ると、

変に威圧があって俺はエミヤが黙るのが結構怖い。


「はいはい。食べ終わったなら、みんな帰ってね~」

志保先生が全員の食べ終わったお皿をまとめ

早く帰るように促した。


「帰るぞ。」

「え。…ぬぁぁぁあ」

俺がおろおろしていると

部長に首をしめられながらずるずると引きずられ帰らされた。


「タイガくん、おもしろっ」

それを見たユキカ先輩は俺を指差して笑い、エミヤもつられて笑った。

機嫌が直ったかは解らないが、

取り敢えず、笑ってくれたことにホッとした。

きっと大丈夫。

あの子には味方が大勢居る。

私は、私の役目と、目的を果たすだけ。

その為なら、手段なんて選ばない。

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