表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異端のLegitima   作者: 瑞希
《悲劇の双子座》
62/100

《破滅の》

「やぁ、エミヤ」

暗い闇に、銀の光が現れた。


「ラムセスさん…」

いつものように、ベッドで座っている私に影が重なった。

不定期に、彼は現れる。

それはきっと、私が魔界に居ようと変わらない。


「行けなくなっちゃったみたいだね」

今の私は、変わらずに磁界に居るけれど。


でも、明日になれば、今度こそ行ける。

「明日で30日。

けど、何故なんでしょう…」

明日になれば、行けるはずだ。

けれど、なぜ前回は行けなかったのか…。

ユウヤも誰も事故だと言って理由は話してはくれない。

ただ本当に事故ならば、次もいけないのではないのだろうか…。


「何故って…君の大切は人たちが、君を大切に思ってるからじゃないか」

血の気が引いた。

綺麗な言葉で語られているけれど、要するにタイガ達が私を連れ戻そうとしているのだ。


「で、でも、手紙…!」

そうならないように、と。

手紙を残しておいたはずだ。

あれには、忘れてとも探さないでとも書いておいた。

それなのに私のために、そんな労力を働く必要なんて…


「君が逆の場合、それで納得する?

 僕ならしないよ」


それは…………

「………」

私だって、きっと、納得できない…。

どうして…?

…どうして………?


「死んだよ」


「……………え?」

「水の子が。

 ………ナツカと言ったかな」

ナツカ先輩が………………?

ウソ…、ウソよ。

嘘だわ。

そんなの、有り得ない。

「…………嘘です。そんなはずない。」


ラムセスさんは私の瞳をスッと見つめた。

「何故?」


そんなこと有り得ない。

だって

「御兄様はそんなことしない…!」

私は懸命に涙を溢すまいと目を開いた。

御兄様はナツカさんを、誰かを傷つけるなんて絶対にしない。

心優しい人だ。

誰よりも争いを恐れ

人の血さえも恐れるような

脆く優しい人…!


「それはどうかな?

 あれは君の兄である前に、王だ。」

言ってる意味がよく解らなかった。

御兄様は御兄様だ。

王様であっても、御兄様であることに変わりない。


「信じられないのなら見せてあげよう」

「え………?」


ラムセスさんは部屋の真ん中を指差した。

「これが、事実だ。」


闇の中に浮き上がった、フォログラムのような映像。

けれど、やけに生々しい。

まるで自分の記憶を思い出しているかのよう。


「…………!」

そこに映っていたのはタイガやハヤテさんサキアさん、ナツカさんやユキカさんだった。

そして、3人の見知らぬ人たち。

対立する2つは何故だか争っているようだった。


私は、絶望した。


争いを、魔界を救うために、私は一人で行こうと思ったのに

そんな行動が、私の何よりも大切だったはずの人たちを危険にさらしていた。


…いいや。

殺していた。


「ナツカさ………」

ナツカさんは消え去った。


「ほら、ね?

 僕は忠告したよ…」

どうして

どうして、どうしてこんな…

どうして私を助けになんて…連れ戻しになんて来たの?

私は…、私一人が魔界へ行けば済むと思って…済むのに。

それだけで2つの世界が少なからず救われるはずなのに。

どうして、どうして、来てしまうの?

どうして争うの?

どうして御兄様は教えてくれなかったの…?

私が傷つかないため…?


…どうしたら、良かったと言うの………?

相談すれば良かった?

いったい誰に?

相談したところでどうなると言うの?

選択肢は2つしかないはずよ。

磁界に残って魔界を見捨てるか

魔界へ行って自分を見棄てるか

もっと時間をかけて説得をすれば良かったの…?

そんな、悲しいこと言えない…。

だから手紙にしたのに……!

どうして解ってくれないの…?

私が、死んでしまえば良かったの…?

もうわからない。


私はどうすれば良かったの…?!!?!


………


……………


…………………



「止めなきゃ」

何も解らない。

解らない。

解らないけど、どうすれば良いのかはハッキリしてる。


「え?」

「争いを…」

これ以上、魔界からも磁界からも被害が出ないように。

憎しみを増やさないように

悲しみを増やさないように

人から…

私から…!!!!


「止めるって…

 君が魔界へは行かないの」

魔界へは…行くわ。

争いを止めて、みんなを少し説得すれば、みんな不毛な争いなんてしないはず。

私が魔界へ行けば万事解決、大団円なんだもの。

…手紙にも、そう書いたのに………。


「…良いよ。君が好きなようにすると良い。

 後悔がないようにしないと。」

後悔なんて…、もう多すぎて。

けど、うん。

少しでも減らしたいと思う。


「どこへ行く?」

「………歌を歌えるところ…」

歌を歌う。

私にはそれしかない。それしか使える力がない。

考えるんだ。

想うんだ。強く。

強く。

世界がどうあって欲しいか。

私がどう思っているのか。

どうしたいのかを。


そうすれば、力は靄は世界は応えてくれる。




朝になって、私たちは上空を飛んでいた。

日が上がっている時間にラムセスさんの姿を見るのは初めてだ。


下から、聞いたことのない警報が流れるのを聞いた。


「非常事態宣言。だって」

「やっぱり…争うんですね」

私たちは先を急いだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ