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異端のLegitima   作者: 瑞希
《悲劇の双子座》
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《磁界の水が王》

「俺はエベルハルトだ。

 いつかまた、会うときが来るだろう」

「俺はタイガだ。

 願うなら、その時が少しでも遅くなるよう。」

雷の悪魔は頷いて、森の奥へ去っていった。


エベルハルトは僅かながらも、治癒魔法を心得ていたらしくナツカを治療しようとしてくれた。

…だが………


気を失ってしまったユキカの両手にはナツカのリミッターだったピアスが握られている。

ナツカは、消えてしまったのだ。跡形もなく。

あの悪魔たちと同じように…。

ユキカは、やはり無理をして居たのか糸が切れたように倒れてしまった。


「…あの光はナツカの……?」

ナツカが消えた軌跡からはたくさんの光が溢れた。

その光は天高く登り、そして雨のように降り注いだ。

サキアの傷を癒し、悪魔たちを浄化した…。

サキアは目覚めないものの、呼吸はしっかりしている。


「…早く、病院へ…

 タクシーでも呼びましょう」

タイガは涙を静かに流しながら、ハヤテにそう言った。


ハヤテは長い間を開けてやっと頷き、僅かに声を出した。

「………………ああ…」

そんなハヤテにタイガはどうしたら良いのか解らなかった。

いつも何かを言ってくれるユキカもサキアも気を失い。

ナツカは…死んでしまった、消えてしまったのだ…。


エミヤを思えば、今すぐにでも走り出したい。

だが、サキアが気を失っている以上、もうどこへ行ったら良いのかも解らない。

それに今のハヤテを一人にすることはできない。

ただただ、呆然と立ち尽くしている。

涙も流さず…理解できていないのか、理解したくないのか。


すると唐突に、着信音が聞こえてきた。

「―はい」

電話を掛けられていたのはハヤテだったらしい。


「…ユウヤの反応が消えたって………」

志野さんという人からだったのだろう。

もっと俺が絶望してもいいものだったが、ハヤテの姿に、逆に冷静になってしまった。

それに、ユウヤがこの町から出られないのは知っていた。

この町でしかユウヤが行きたい魔界へ行くことは出来ないはずだ。


「…部長。しっかりしてください。

 エミヤは大丈夫です

 今は、二人を病院へ連れていきましょう…!」

タイガは、あえてハヤテのことを部長と呼んだ。

少しでも彼が崩れてしまわないように、と。


気付けば、赤い月も消えていた。

いや、月が消えたんじゃなくて、月の輝きが消え、太陽の光に霞むようになったのだ。

理由は分からないが、悪魔もナツカさんによって消された。今しか二人を連れ出せない。


「…………あ、ああ」

完全に戻ったとは全く言えないが、多少は戻ってきてくれた。


「え…と、―脚力腕力アップ―」

ハヤテがそう言うと、突然、腕力と脚力が上がった。

自分と同じくらいの身長であるユキカの事も、軽々と運べる。


「行きましょう。」












イヤリングの輝きに、僕は気がついた。


“………………ここは………”


上も下も、明も暗もない、虚無の空間。

僕はそこで漂っていた。

不思議な場所。

不思議な気持ち。

恐怖は感じない。

暗い訳じゃないから。

ただ、何もないだけ。

永遠と広がる、ただそこにあるだけの空間。

けれどそこには何もない。

憎しみも

怒りも

悲しみも

幸福も

激情も


何もない。

もちろん、寂しさも。


“ユキカ”


けれどそこには僕らが居た。


“ここはどこなの?”


僕はナツカに問い掛けた。


“…ここには何もないよ。何でもないよ。”


そうだね。

僕もそう思う。

ここには秩序も倫理も規則もない。

それらすべて何の意味も齎さないから


“どうしてここに居るの?”


“あっちの世界にいられなくなったからだよ”


“あっち…?

あっちってどっち?”


ここには右だって左だってない。


“あっちさ”


“わかんないよ”


肉体だってないもの


“いいや。

君はわかってるはずだよ”


わかんないよ。そんなの。

解りたくないよ。

僕らはここに居るんだもの。


“ナツカは死んだよ”


ナツカはまるで他人事のように言った。

僕はそれを否定した。


“いいえ。ここに居るもの”


ナツカは確かにここに居る。

僕と今まで一緒に生きてきたナツカは確かに存在してる。


“…そうだね。君の隣に居る。

我が王よ”


そんな呼び方しないで。

僕らは兄弟だよ。

二人で一人だよ。

ここに居るよ。

僕らはずっと二人で一人だもの。


“君は帰るんだ。

君の世界に”


“それならナツカも”


“僕は無理だ”


“どうして?”


“…僕の故郷はここだから”


それじゃあ…


“一緒に居てくれないの?”


手を繋げないの?

触れ合えないの?

抱き合えないの?

ふざけ合えないの?

なにも…


“僕は君の隣に居るよ。”


“……………でも、触れられない”


ピキッと何かが壊れる音がした。


“ユキカ……………”


「もう、2度と!!!!!!」

感情が溢れだした瞬間、僕は空間から弾かれた。

僕はもう虚無ではないのだ。

だって、こんなにも絶え間なく涙が流れる。

こんなにも心が苦しい…!

こんなにも…、憎い!!!!!!!




「ユウヤ………許さない!!!!!」

僕から、大切なものを。

ナツカを…!

エミヤを…!

すべて奪っていくお前が許せない!!!!!!!

…許さない。




倖架はこれでもまだ目覚めてはいない状態です。

ですが世界に帰ってきたため、命の危機は脱しました。

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