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異端のLegitima   作者: 瑞希
〔告げる雷鳴〕
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〔欲と理性〕

「あ…、生肉…」

「うん!

 なるべく新鮮なものが良いんだ」

ミナトが持ってきたクロの餌はスーパーでよく売っている生の肉だった。

大きさはミナトの言う通り、クロの大きさはスズメほどだが、生肉を食べる姿はフクロウのようだ。

黒いところを含め。


「こんなことも出来るよ」

そう言うとミナトは生肉を勢いよく空に投げた。

するとクロは助走もなしにいきなり飛び立ち生肉を空中でキャッチした。

だが、空を飛ぶ距離のわりに、羽を動かしたようには見えない。


それを見たユウヤが微笑みながら口を開いた。

「鳥だから、セツナと同じ属性の魔法なのかも知れないね」

「…不愉快です」


セツナが珍しく不機嫌になったことにユウヤは苦笑いをした。

「あはは…、けどそうなるとミナトくんとは正反対だね」

「え?」


ミナトが首をかしげたことで、ユウヤは前置きして説明した。

「まあ、これは魔法の話だけど

 雷と風は正反対だから」


ユウヤの言葉に、ユキカは納得したように頷いた。

「ああ。だからセツナとマキリは仲悪いのかな」

「…否定はしません」

「ははっ」

あまりにも素直に言うセツナにユウヤもユキカも笑った。


「僕も…?」

「あっ…、ミナトさんは関係ないです…!」

涙目になって訴えるミナトに、セツナは慌てて首を振った。

セツナがマキリの事を嫌いなのは事実だが、だからと言ってミナトまで嫌いになることはない。

多少は左右される事もあるかもしれないが、ミナトとクロのようにそうでないこともあるのだ。


「結果、関係ないってことか~」

「無関係とは言えないと思うけどね」

ユキカの言葉に、ユウヤが軽く否定して、言い直した。


「けど、君とタイガは仲良いみたいだね」

「もちろん」

「僕たちと君もね」

ナツカの言葉に、ユウヤは苦笑した。


「餌をあげて終わりですか?」

セツナの問いに、ミナトは頷いた。


「暇なときは遊んであげてほしいです

 放っておいても運動はしますけど」

悪魔とは到底思えないほど、クロは馴染んでいるようだ。

放し飼いをされているペット…だろうか。

これで猫なら間違いないだろう。


「どう遊ぶの?」

「えと、今みたいに餌を投げたり、追いかけっこしたり、かくれんぼしたり」

そしてクロはかなり頭が良いらしい。

ミナトの遊びに合わせて、なのか子供らしい遊びをキチンと理解できるようだ。

エミヤは本当に悪魔なのかと何度も疑った、がそれでもやはりクロは黒い靄を持っている。


「…じゃあ、追いかけっこしようか」

ナツカの提案により、中学生組と幼稚園組+クロは追いかけっこをすることになった。

鬼は、ジャンケンでチョキしか出せないクロになった…、が運動なので問題はないだろう。


「ピピピピピッ!」

クロの謎の鳴き声と同時に追いかけっこは始まった。

タイガ

ミナト

ナツカ

ユウヤ

エミヤ

ユキカの順に捕まっていった。

が、セツナは何故だか意地になったらしく結局、最後まで捕まることはなかった。


「はっ…はぁっ……中々、やりますね…」

「ピピッピ…」

そして、セツナとクロは何故か意気投合した…。

言っていることは全くわからないが、本人同士は意思の疎通ができるらしい…?






「で、クロどうしようか…」

家の近いセツナにミナトを送ってもらうため先に帰してから、5人で話し合いを始めた。


「どう…ってもなぁ…」

近くのファミリーレストランに入ったは良いが、話は進められずにいた。

朝から会っていたため、まだ時間はそれなりにあるが…。


「方法としては…二つかな

 素直に志野さんに話して交渉する

 もうひとつは、クロを倒す」

「そんだけしかないのか…?!」

タイガの言葉に、ナツカは黙ってしばらく考えたが、それ以外には出なかったようだ。


「倒すにしても、方法はあるよ

 ミナトくんには魔界に返すと偽って…とかね」

ユウヤの言葉に、ユキカは明るい顔をしてから少し首をかしげた。


「何で偽ってなの?

 そのまま返せば良いじゃん」

ユウヤはサッと顔を曇らせた。


「そう…上手くはいかないものだよ

 少なくともクロの居場所は、もう魔界にはない」

ユウヤの断言にユキカは肩を落とした。


「交渉…するしかないのかな」

重苦しく言ったユキカ。

悪魔のことを話すのはただでさえ苦しく難しいことだが

志野に対してそれを話すことはその遥か上を行く。


「どちらにしても時間の問題だろうね

 あまり長引かせても疑われるし…」

「そもそもとして、クロがまともにミナトの側に居られるとは思えない」


ユウヤの言葉に、ユキカが少し間を開けて聞いた。

「…なんで?」


さっきから話してばかりいるユウヤの代わりに、タイガが口を開いた。

「苦しんでるって言ってたでしょ?」

「うん。」

「つぅことは、なんか我慢してるんですよ

 たぶん、人を襲うことに対して…、その辺だと思います」


エミヤがうわ言のように言った。

「…でも、何もしてない」

「そこだよ。

 クロは何もしてない。

 けど、何かをしてからでは遅い」

少しキツく言ったユウヤに、ユキカが顔を伏せた。


「……じゃあ」


またユウヤの言うことに対比するようにタイガが言った。

「だが、人間誰しも…いや生きとし生ける物何かを我慢してるもんだ」


否定されたユウヤは怒る素振りも見せず頷いた。

「そう。

 クロが我慢しきってしまえば、済む話なんだ」

「だが我慢できなければ…。」


タイガとユウヤの対比した言葉に全員が口を閉じた。

「…………」

まさに表裏一体なのだ。

一か八か…。

だが、その懸けが外れた場合…、本当に取り返しがつかない。

ミナトも、クロも。

…どちらも死ぬ可能性だってある。


「次会う日…に、言おう

 それしか道はないと思う。」

「ただ、話すのは志野さんだけだ。」


二人の言葉にタイガは少し眉を潜めた。

「その…志野さんっと人は信用できるんすか?」

「うん。

 恐いけど…信用はできる。」

ユキカの力強い言葉に、タイガは素直に頷いた。


「僕たちから連絡しておくよ」

「それじゃあ、解散。」

ユキカとナツカの言葉に、5人はそれぞれの思いを抱えて帰っていった。

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