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異端のLegitima   作者: 瑞希
〔告げる雷鳴〕
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〔クロとミナト〕

あけましておめでとうございます!


だからといって何もなく…普通に新章始まります。

あ、でも、もう少しで区切りが付きそう…?








僕らは、何て言うか…とっても仲良しに成った!

すごく平たく言っちゃったけど……。

でも、仲良くなったと思うんだ。

エミヤとも、タイガとも。


まあ、諸々あって僕らも卒業することになって…、その話はまた今度するかもね。

もうエミヤ達とは同じ学校ではないんだけど、ミナトへの紹介がまだだったから今回はそれをするよ!

ついでに間もの討伐もね。


「あれです…」

猫を指差しながら言ったエミヤの言葉により、僕らはそれを悪魔だと理解した。


実はね、

もう一つ変わったことがあるんだ。

これは必ずしも良いこととは言えない…んだけど。

エミヤは、視えるようになった。

視えるように、なろうと思うようになったのかも知れない。

悪魔のオーラが、人のオーラが、能力者レジティーマのオーラが視えるようになったんだ。

それってスッゴク便利なんだ。

今、中学生組で悪魔を探せるのはセツナだけ。

それも声を聞くだけだから大体の範囲しか分からないんだ。

それでも十分助かってるんだけどね。

でも、エミヤの“視える目”のおかげで範囲を絞ってから、特定することができるようになった。


「―………銃となりて彼の者を撃て―」

タイガの指先から複数の弾丸が放たれた。

それにいち早く気が付いた猫の悪魔は、二三度は避けたが、ついに燃やし尽くされた。

見た目が猫な分、少し見た目が残酷だった。


なんだ。

良いことじゃんって思うかもしれないけど、僕は素直に喜べない。

だって、それってきっと、エミヤが悪魔対して明確な殺意を持つようになったから。

エミヤにそんな感情持たせたくなかったし、持つなんて思わなかった。

僕らだって、明確な殺意なんて持ってない。

明日から倒さなくていいよ。って言われたら、僕らはきっと倒さない。

そうじゃない人も居るだろうけど…、僕らみたいな人だって居る。

エミヤは、そうじゃない人になっちゃった。


例え、殺意を持ってなかったとしても、失ったとしても

エミヤが“視える目”を持っている以上、悪魔討伐に重要な存在になってしまった。

中々引退させてもらえないだろうし、引退したあとも、視えることになってしまう。

別に、エミヤのことを本当の意味での悪魔だなんて思ってないけど

でも、それでも、やっぱり同じ種族なんだ。

中には血縁だって居るのかもしれない。


もしも、ユウヤが前のまま魔界にいて、エミヤと接触するようなことがあったら、とか。

恐ろしい想像をしてしまう。

あり得てしまう。


だから僕は、エミヤが“視える目”を使えるようになったのが、必ずしも良いこととは思わない。

僕が珍しく?

そんな事を考えているなんて露知らず、素直に喜んでいる1年生が一人。


「残り、1体です」

2体目を倒したことを確認したセツナは、能力を発動させるのをやめ僕らに近づいてきた。

喜んでいる様には全く見えないけど、たぶん喜んでると思う。

セツナは、悪魔に対して明確な殺意を持ってる、そうじゃない人。だから。

純真で実直だから、それが当然だと思ってる節もある。

ちょっとだけ、危ういよね。

ま、子供らしくて良いんだけどさ!


「この辺には居な―!」

言い掛けたエミヤが素早くリミッターを外し、それを男の子に突き刺そうとするのが見えた。

僕は頭で考えるより速くエミヤの腕を掴んで制した。

ナツカも同じタイミングで、男の子の前に立って庇った。


「悪魔じゃないよ」

僕たちがそう確信して、こういう言動を取ったのは既に男の子のことを知っていたからだ。

能力者レジティーマなら、悪魔と間違える可能性もある。

つまり、この男の子は能力者。


「幼稚園組のミナト、蕾凰らいおうね」

僕らの討伐が終わったら、会いに行く約束をしていたけど何故だか自分から来てしまったらしい。

それともどこかへ行く途中だったのか…。

この辺に一つ、公園があったから、あり得ない話でもないだろう。


「蕾凰って…マキリさんの」

エミヤはそう呟いて、僕らの目を見てからリミッターを髪に戻した。

ミナトを信じたと言うよりは、僕らを信じたのだろう。


蕾凰らいおう みなと能力レジ電気

ついでに、電気か雷の騎士。

エミヤの察しの通り、ミナトは高校生組の蕾凰らいおう 真霧まきりの弟だ。

結構年が離れているのは、蕾凰家の家庭の問題だろう。

ミナトがこうして居ると言うことは、蕾凰家の問題が終息したと言うことに他ならない。

一時的なものと言う可能性は捨てきれないが、僕は終わったのだと思いたい。


エミヤはミナトを見て、何度か目を瞬かせ頭を下げた。

「ごめんなさい!」

とりあえずは、ミナトの事を信じてくれたようで良かった。

エミヤは1度、親しいものを悪魔に乗っ取られているから、すぐに信じてくれるとは思わなかった。

やっぱり、エミヤの基礎は変わってないのかな。


年上に素直に謝られたミナトは、ビックリして頭を下げた。

「僕こそ、ごめんなさい…」

ミナトは兄のマキリとは、全っ然、ビックリするほど似てない。

顔は多少似てるけど、表情とか性格とか全っ然、全っく、違う。

ミナトは6才なのにしっかりしてるし、素直だし、可愛いし。

マキリとは大違い!

セツナもそう思ってるって!


「ミナトさん、どうしてここに居るのですか?」

ミナトのことガン見してるな、と思ってたら、僕とは全然違うこと考えてた。

…僕が悪いみたいじゃん。ねぇ?


セツナの言葉に、ミナトを思い出したようにハッとなってセツナを見た。

「クロが逃げちゃったんです…!」

く、黒?

ああ、ペットの名前かなんか?

マキリってペットなんか買ってたっけ?


「犬か何かか?」

タイガの言葉に、ミナトはブンブンと首を振った。


「鳥、です」

「鳥かぁ…」

「探すのは難しいかもね」

一緒に探す気満々だったらしいタイガとユウヤは難しい顔になった。


そんな二人を見て、セツナが遠慮気味に口を開けた。

「良ければ探しましょうか?」

セツナの言葉にタイガとユウヤはバッと振り返った。


「あっ、だ、大丈夫です!!!

 自分で探せますから!!!!」

三人の言動にミナトは形相を変えて止めた。

ミナトのいきなりの剣幕に、三人は呆気にとられた。


そんな三人を見て、ミナトは慌てて頭を下げた。

「ごっ…、ごめんなさい」


「何か理由があるの?」

「えっ…と………」

エミヤの言葉に、ミナトは目を泳がせた。

しばらく考えるそぶりを見せると、ハッとしたようにエミヤの顔を見つめた。


「い…一緒に探してくれますか?!」

ミナトのすがるような声にエミヤは少し驚いてから微笑んで見せた。


「もちろん!」








「そっち居た~?」

周囲をキョロキョロと見回すタイガへ、ユキカが聞いた。


「いやぁ~…」

首を振りながらそう言うタイガに、ユウヤが肩をすぼめた。


「黒い鳥って、からすじゃないのかい?」

ユウヤの問いに、エミヤ、セツナと一緒に探していたミナトが首を振った。


「もっと小さくて…スズメくらい、です……」

さっきあんなことがあったばかりなのに、ミナトは何故かエミヤになつき、手を繋いでいた。

エミヤも驚いては居たが拒否することはなかったので、されるがまま手を繋いでいる。


「あと探していないところは…」

もう片手を繋がれているセツナが、まだ探していない方角を見つめた。

そこは、さっきセツナが悪魔が居ると言っていた方角だ。


「ちょっと、危ないかもしれませんね」

「…え?どうして?」

エミヤの問いに、セツナが首をかしげ、ハッとしてナツカとユキカを睨んだ。


「おっふ…」

「まだ説明していないことがあったとは…!!」

「そういえば、一般人から守る~とかしか言ってなかった…ね」

過去の記憶を手繰りながらナツカとユキカが冷や汗をかいた。


「悪魔にとって人も獣も植物も無生物も関係ないのです。

 それら全てから力を奪うことができます。」

「…えっ、無生物?」

セツナの言葉に、エミヤは間を開けて驚いた。


「はい。

 古くから書物に書かれていましたが、証明することもありませんでした。

 ですが近年、土や石の家系が証明してくださいました」

その証明方法などはよく分からないが、とにかく悪魔は何にでも襲うらしい。

ということは、ミナトの鳥であるクロにも悪魔が襲ってくる可能性がある。


「じゃあ、急がなきゃ!」

その事に気がついたエミヤはセツナと目を見合わせた。






「この辺りのはずです…!」

セツナに言われ、エミヤは周囲を見渡した。

自分達に目をつけられる前に、“視える目”によって悪魔を探すためだ。


茂みの奥にエミヤの視線が行った。

「…………あっち…?」

一瞬見えた気がした、黒い影に、エミヤは茂みの奥へと脚を伸ばした。

そんなエミヤを、タイガ達は慌てて追いかけた。


「クロ!」

エミヤが脚を止めたと同時に、ミナトが、茂みの奥にいた黒い鳥に向かって走り出した。


「ミナトくん!

 ダ―」

そう言いかけて言葉を切らしたエミヤの前で、ミナトは黒い鳥を庇うように、立ちはだかった。


「ごめんなさい!ごめんなさい!

 けど、クロは何にも悪くないよ!」

立ちはだかりながら、ミナトはエミヤ達に向かって必死に言った。

ミナトの後ろにいる黒い鳥は、エミヤにはグレーに近いように見えた。

が、それでも黒い鳥は悪魔だ。

黒く、澱んでいる。


「悪魔だよ、その子は」

エミヤの言葉に全員の視線が黒い鳥へ向かった。

薄々は気付いていたが、確信できてしまった。

ミナトは、悪魔を飼っていた、ということになる…。

幼子と言えど、本来悪魔を倒すべき能力者レジティーマが悪魔をかくまっていた。

それどころか、名を与え飼っていたのだ。


「でも何もしてない!!!

 エミヤさんなら分かってくれるって!…思って……」

ミナトの考えが何となく分かった。

ミナトの兄であるマキリが知っているのだ。

細かいところまでは知らなくとも、大体の事は把握しているのだろう。

ミナトは、エミヤなら、悪魔であるエミヤなら、自分の相棒を救けてくれるかも知れないと希望を抱いたのだろう。


「…」

「クロはずっと苦しんでるんだ!!

 ねぇ…ねぇ、助けてエミヤさん!

 クロは悪くないんだよ!!」

ミナトはそうしてエミヤに懇願こんがんした。

だが、どちらにしても悪魔を救う手段なんてエミヤは知らない。

エミヤに出来ることは、これ以上苦しまなくて済むように、浄化することだけだ。

悪魔の刻印こくいんを狙わずして浄化出来ることは、それだけでも本来、貴重な力。

けれどミナトが望むのは、そんな、なけなしの慈悲じひではなく、今生こんじょうの救い。


「……悪魔、なんだよ」

エミヤはそれ以前に、目の前にいるクロを、自分を、どう捉えたら良いのか悩んでいた。

もし、ミナトの言う通りクロは今までに誰も襲っていなくて、そして苦しんでいるのなら

それは果たして本当に、倒すべきなのか。

倒すべきだと言うのなら、自分も今ここで死ぬべきなのか…。

倒すべきでないと言うのなら、今まで自分達が…能力者レジティーマ達がしてきたことは、すべて間違いだったと言うのか…。


それらすべてを証明できるはずの、エミヤの“視える目”には自分は映らない。

けれど、ユウヤは他と変わらないように視えるのだ。


「そんなの関係ないもん!

 クロはクロだもん!!!」

ミナトの言葉に、エミヤはハッとした。

いつの間にかミナトの肩に乗ったクロは慈しむようにミナトに擦り寄っている。

それだけを見ると、悪魔とは到底思えない。

けれど“視える目”はどうあってもあれは悪魔だと訴え続ける。


…だが、1つだけ、疑いようのない真実が目の前にあった。

まだ幼いミナトは、ただ純粋にクロを思って居る。

これだけは、疑いようがない。


「保留…としか言えないよ」

「ユキカさん…?!」

ユキカの言葉にセツナが少し怖い顔をした。


「あれは悪魔ですよ!

 私たちが倒すべき存在です!」

クロを指差して、キツく言ったセツナに、ナツカは悲しげな微笑を浮かべた。


「僕や君の隣りにいる人も…?」

「っ…」

セツナはナツカの隣にいるユウヤや、自分の隣にいるエミヤを思って、息を飲んだ。


「僕は是が非でもエミヤやユウヤに手を出させない。」

「それなのに、クロに手を出すことは出来ないし…」

「させたくないんだ」

ナツカとユキカの言葉に、セツナは完全に黙った。

否定も、肯定もせず黙認するのだろう。


「じゃあ、俺達みんなで世話しません?

 その方が、万が一にも安全っしょ?」

タイガの提案に、ユキカがパチンッと指を鳴らした。


「ナイスアイディア!

 ねっ?」

ユキカに同意を求められたセツナは、少し悩んだ末に頷いた。


「わかりました。

 懸けてみましょう。」

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