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異端のLegitima   作者: 瑞希
《奇怪の異能》
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《歓迎、されてる…?》

椅子に座り楽しそうに話している生徒たち。

その中の一人、金色の髪に桃色の瞳を持つ少女名前は

音澤おとさわ 愛雅えみや。中学一年生にしてプロの歌手。


キーンコーンカーンコーン


六時間目の始まりを告げるチャイムが鳴ると

生徒は自分の席へと戻って行った。


「入りたい部をこれに書いてくれ。」

エミヤのクラスである1-Aの担任、

碓氷うすい 海翔かいとはそう言いながらプリントを配り始めた。

碓氷は三年前に来た新任の教師で若くかっこいいと

当初は女子からキャーキャー言われていた。

今では落ち着いてきたが、それでもやはり人気だ。


プリントを受け取りエミヤは一瞬迷ってから、

部活一覧には載っていない、特殊能力部と記入した。

(部活紹介でも紹介されてた記憶もないし…

 こんな部、本当にあるのかな…?)


生徒全員が記入し終わり、碓井がプリントを集め確認を始めると、

生徒たちが先生に怒られない程度にこっそり話し始めた。


「エミヤはどこにした?」

エミヤの前の席である

榎本えもと 亜美あみ。エミヤが初めて声をかけてもらい友達になったのだ。

アミも他の生徒と同じように、後ろにいるエミヤに振り向き話しかけてきた。


「特殊能力部ってとこ…。アミちゃんは?」

「私はね!もちろんバスケ部!」

勉強はあまり得意ではないアミだが、スポーツは自他共に認めるほど得意で、そのなかでも特にバスケが好きで得意なのだ。


「私は美術部にしたよ~」

可愛らしい声でそう言ったのは斜め前の席の

一樹いつき 妃南ひな。ヒナは元々、彼女と同じ学校それもあり仲良くなったのだ。

(ヒナちゃん、美術好きなんだ…知らなかったなぁ…。)


「セイラはどこにした?」

そうエミヤが声をかけたのは、

たちばな 聖羅せいら

彼女たちはとても仲良しで学校でも、それ以外でもよく一緒にいる。


「私は薙刀部…。エミヤは特殊能力部にしたのね。」

「う、うん。特殊能力部…」

「…どうしたの?」

イマイチ歯切れの良くない返事を返したエミヤに、セイラが首をかしげ聞いた。


「あ…うん。こんな部あったかなぁって…。」

「碓氷先生、何も言わないし。あるんじゃないかな?」

横から聞いていたヒナがにこやかに笑いながら言った。


「まぁ、うちの学校は、部活が多いのでも人気だからね」

アミの言う通り、エミヤたちの通う聖神せいしん中学校は

自由な校則、数多くの部活、特別待遇制度など色々な長所があるのだ。


「静かに。」

碓氷の冷静な声が教室に響くと、生徒は話を中断し碓氷の方に体を動かした。


「確認し終わった。問題ない。授業後、顧問の先生に渡しに行く用に。」

碓氷が再びプリントを生徒に返すと


キーンコーンカーンコーン


ちょうど授業の終わりを告げるチャイムが鳴りSTが始まった。

みんな帰りの準備をし、STが終わるとそれぞれ部活の顧問や、家へと向かった。


「じゃあね!一番とって見せるよ!」

一番に部活の顧問に渡したいアミは、エミヤたちに手を振りながら逸早く教室を出て行った。


「エミヤちゃん、一緒に…。と思ったけど私も一番とってみる!」

アミに続いてヒナもエミヤに言いかけて、教室を慌てて出て行った。


「じゃあ私も…って、タイガは?」

「多分廊下。ヒナはそれを見て遠慮したんだろうね。」

セイラの冷静な言葉に合点がいったエミヤはポンッと手をたたいて感心した。

(セイラっていつも冷静だよねぇ…)


「それよりエミヤ、部活は誰に誘われたの?」

「え?タイガだよ。なんで?」

エミヤの答えを聞くとセイラはしばらく目を閉じて息を吐きエミヤに、にこりと笑いかけ。


「ううん。ちょっとタイガくんと話してから帰るわ。エミヤ、気を付けて。」

「うん…?またねー。」

セイラの言動に多少の疑問を抱きながらも、エミヤはセイラと別れ、タイガとセイラが話していると思って少し間を置いてから、タイガがいるであろう廊下に向かった。


「あれ、タイガどうしたの?」

廊下に出るとセイラが立ち去り、その後姿をタイガが驚いた顔で見つめているところだった。

(なんで、驚いてるんだろ…まさか告白された、とか………?)


「あ、いや何でもない。」

「何でもないことないでしょ。」

眉間にシワを寄せるエミヤに目も会わせず、タイガは渋い顔で頭を掻いた後おもむろに口を開いた。


「橘って、何者?」

「………は?」




「ここなの?」

北館と呼ばれる場所にある、コンピューター室の前に立ち、エミヤはタイガを見ていった。

一方、エミヤをなんとか誤魔化したタイガの顔は、すでに何処となく疲れている。

(ま…告白されたわけではないみたいだけど。それならそれで、余計に気になるわ?)


「ああ、開けるぞ。」

タイガが扉をノックし失礼しますと珍しく丁寧に声をかけ、扉を開けると


パァーーーーーーン!!!


銃声のような音が聞こえ、エミヤはけたたましい音に驚き、耳を塞いで身を強ばらせた。


(あ、あれ…、なにも起きない………?)

しばらくしても何も起きず、エミヤが恐る恐る目を開けると、

かばうように前に立つタイガの背中越しに、

銃…ではなく、クラッカーを持った二人の女の子が見えた。


「あ、ごめんね?驚かせちゃった…?」

そっくりな女の子二人の中の一人が申し訳なさそうに苦笑いを浮かべながらエミヤたちに謝罪した。

ベリーショートの髪に青色の瞳の女の子。

見たところ二人とも二年生のようだ。


「えーっと、あなたが…部長?ですか?」

タイガが女の子に戸惑いながら聞くと、もう一人の女の子は笑いながら手を振り


「違う違う。さ、立ち話もなんだし入ってよ」

そう言い部室に入った女の子を追って、タイガとエミヤも中に入った。


「僕は、二年の清水しみず 倖架ゆきか。双子の妹」

「僕は、同じく二年の清水しみず 懐架なつか。よろしくね?」

最初にクラッカーを持っていた、二人の女の子がそれぞれ自己紹介をした。

(ナツカさんは青色の瞳で、ユキカは水色の瞳か…。判りやすくて良かった…。)


「私は三年の千里せんり 咲空さきあ

 で、あっちのエミヤちゃんをがん見してるのは三年の

 操辻あやつじ 颯天はやて。あれでも部長よ」

「あれでもって何だ、あれでもって…」

大きなひとつの机の一番向こうに座っている

ハヤテは、サキアをじとっとした目で見てから、またエミヤを見つめた。

(に、睨まれてる…?私何かしたかな……。あ!自己紹介!まだしてない!)


音澤おとさわ 愛雅えみやです。よろしくお願いします!」

「あ…俺は火砕かさい 泰芽たいが。」

自己紹介を求められていると思ったエミヤは慌てて自己紹介をし、タイガもそれに続いた。


「…じゃあ、これから活動内容を説明する。その辺に座ってくれ。」

ハヤテはエミヤから視線をはずし、あくびに耐えながら椅子に座りなおし、

自分の座っている向かいの席を指差した。


「まず、超能力とかそういう“力“はあると思う?」

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