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第4話

俺と由香、舞、リンはワニがでてきた校舎、高等部の校舎に入っていく。

俺は高等部に入る前に由香が俺の顔を見ていた。


「どうした由香?」

「ん、ちょっとあの事思いだしちゃって」

「あの事?」

「ほら、一年生の時銀次が学校で怒った事だよ」

「……あ〜、あれか……」

「銀次………覚えてないでしょ」


由香が俺を怪しいという感じで俺を見ていたので


「悪い、覚えてない」


と言うと由香は


「もう、ほら銀次が高等部になったばっかりの時三年生の人が私の事殴ったでしょ、その時銀次が怒ったんだよ」

「……まだ覚えてたのか」

「一つの思い出だし、あの時銀次の『信じる』がどれだけ重い言葉なのかも話してくれたから」


俺は苦笑いで由香の顔を見る。


二年前――――


「銀次ぃ」


俺を呼ぶ声がして後ろに振り向くと由香が小走りで俺の所に来る。


「クラスもう見た?」

「いや、これからだけど……」

「一緒のクラスだよ!!真田君も真奈も!!」

「へ〜、よく同じクラスになれたな」

「うん、よかったねぇ」


俺と由香が話しながら歩いていると『ドンッ』と前を歩いていた三年生に肩がぶつかった。


「あ、すいません」


俺が謝ると三年生の男は


「一年が調子のんなよ」


と訳がわからないまま殴られそうになる。が俺が男の足をかるく引っ掻け相手のバランスを崩そうとすると男は豪快に床に顔面着地した。由香はその様子を見てあたふたとしていた


「正当防衛だから」


俺が鼻を押さえる男に言い放ち教室に向かう。


「よぅ刃」

「よぅ相棒!!」


教室に入り1番最初に刃に声をかけ、珍しく真奈といないことに気付いて


「真奈は?」


と聞くと刃が廊下で喚いている真奈とそれをなだめようとする由香がいた


「どうしたの、あれ?」

「俺がさっき変な奴に絡まれてさ、それで俺が手を出さないでいる事に怒ってる」

「なんで手を出さないのに怒ってんだ?」

「なんか俺は手を出さないとダメらしいよ」


刃苦笑いしながら答えた。それから二日後、俺と刃は三年の男に由香と真奈をもらうと言われて旧体育館にくるように言われた。俺と刃が行くと舞とリンの泣き声が聞こえて泣き声が聞こえた旧体育館の裏に行くと三年の男に囲まれ、殴られ、腹をけられたりしていた舞とリンがいた。舞とリンが俺を見つけると


「「お兄ちゃん〜」」


と恐怖にみちた顔で俺に言った。その時に俺の中の何かが壊れた。


「てめぇにはようはねぇんだよ一年坊が!!さっさとうせ『ザンッ』」

「黙れ」


俺は右腕を肩から切り飛ばす。肩がなきなった男の叫びは周りにいた奴らに恐怖をうえつけ走って逃げようとするが、俺は男達を殺しはしないが『神楽』から出した斬戟で男達の四肢のどこかを切り飛ばした。男達が悲鳴を上げられず気絶した時、俺に舞、リンが抱き着いて


「由香お姉ちゃんと真奈お姉ちゃんがぁ〜」

「変な奴らに連れてかれた〜」


舞、リンの言葉を聞いて俺と刃は旧体育館に向かった。俺と刃が入ると男達がスピリットで武装して由香と真奈を殴り蹴り飛ばしていた。そして由香が俺に気付くと


「銀……次…助け……て」

「由香………」


俺が由香の名前を呼んだ時、

「銀次!!」


刃が既に真奈を見つけ俺の所にきていた。真奈は服は乱れていたが殴られたりされただけで刃の腕の中で安心した顔でこちらを見ていた。その様子をみた男が


「近づくんじゃねぇぞ!!こいつを傷つけたくないなら黙って見てろ」


俺が黙って男を睨んでいると後ろから


「銀兄ぃ」

「お兄ちゃん〜」


俺の後ろには男に捕まって動けない舞とリンがいた。そして


「銀次………痛いよ………助けて……」


と床にふせている由香が呟くように俺に助けを求めた。刃がその様子を見て歯ぎしりしていると


「おら一年!!お前は黙って俺らにやらればいいんだよ!!」


男がスピリットを出した。『ズンッ』とその場の空気が重くなり冷たくなった。

「由香と舞、リンを話せ」

俺が発した言葉はいつもの由香達に向けられる温かい物ではなく、低く、威圧感のある声でその場の全員が恐怖を覚えた。舞とリンは泣き止み、由香、真奈は体を震わせ男達は固まった。その場で唯一体が自由に動く刃が


「早く由香と舞、リンを離せ!!死にたいか!?」


刃が叫んでも男達はその場を動かない。いや動けない。銀次が発した言葉の威圧感で既に呼吸困難に陥り既に目は虚ろだった。刃が銀次に近づこうとした時既に由香、舞、リンを捕まえていた男達は右腕が無くなっていた。その後は暴れ狂う銀次と刃の戦いで誰の目にも見えない戦闘繰り返し、由香の


「銀次、どこ?」


の一言で銀次と刃の動きが止まり俺は舞、リンを抱えて由香の前に行き、刃は真奈の前に行って刃はいつもの口調で銀次はさっきの威圧感のある声は全くなく優しい声で


「「もう大丈夫だ」」


と二人で言うと四人は泣きだして泣き終わったと思ったら寝てしまい、俺と刃は四人を抱えて草野家に向かった。家に着くと居間に四人を寝かせ刃と二人で寝顔を見ていた。気付くと俺は寝ていて俺が起きた時、由香達、四人も起きてしばらく沈黙していたが真奈の質問から話しが始まった


「ところで、刃と銀はなんで学校の武道祭では私より弱かったのにそんなに強いの?」


俺と刃が苦笑いをしていると由香が


「この二人はいっつも『めんどい』とか言って半分どころか一割も学校じゃ本気にならないんだもん」


真奈は唖然とした顔で俺と刃を見ていたが


「まぁ、現実にあんなもんみちゃったらなんも言えないわね」


何かに呆れたような口調で言った。俺は刃に『あと頼む』と言って俺はその場を後にした。それを由香、舞、リン、真奈、刃が見て銀次の姿が見えなくなると刃に由香や真奈は次々質問した


「ねぇ、刃。あの時の銀次なんだったの?」

「俺もわかんないけどあんなに怒った銀次は初めてだ」

「だから刃、なんであそこまで怒ったのか聞いてるの!」

「あんま言いたくないんだけど前に一回銀次に由香がさらわれたりしたらどうするって聞いたんだ。そしたら銀次は

『助けるさ、俺の全てを賭けて。由香だけじゃない舞やリンだってさらわれたら俺が全力で助け出す。例え『戦神』になって舞やリンに嫌われても、由香に恐れられても俺は助ける。

俺は由香に『信じる』って言われた。

俺は誰も信じない。

仲間を気取っても命が危なくなると誰かを犠牲にしてまで生きている奴ばっかだと思ってた。いくら仲間だと言っても所詮他人だから。そんな物だと思っていた。でも由香は俺に『信じる』と本心で言ってくれた。だから俺は由香は信じたいと思う。そして俺が『信じる』って言った奴は俺はどんな事があろうとそいつを信じる。』って言ったんだ。銀次は」

「真田くん………」

「なんだ草野?」

「銀次は自分が信じるって言った奴はなにがあろうと信じるって言ったんだよね……銀次がそう………言ったんだよね?……真田君………銀次が……そう……いったんだよね」

「あぁ、銀次がそう言った」


刃が言うと由香は地面に座りこみ泣いた。それを見た真奈は大分驚いていたが、刃はただ優しく笑ったままだった。銀次は由香や刃に会う前どんな奴も信じない。そう誓っていたのを知っている由香は銀次が『信じる』といった事にとても喜んでいた。そしてその事から三日後、由香は銀次に『信じる』と言われ由香は笑顔で銀次に抱き着いていた。



校舎前


由香が物思いにふけていると前にいる銀次が


「由香大丈夫か?」

「うん。」


それだけだが銀次と由香はお互いに何を思うかは手に取るようにわかった。


『この人だけは信じる』


由香と銀次は静かに手を握った。まるで『信じる』という証拠のように………

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